米ウォールストリート・ジャーナルによると、中国の国営テレビ、中国中央電視台(CCTV)は、米マイクロソフトのパソコン向け基本ソフト(OS)「ウィンドウズ8」を非難したという。

 放送があったのは6月4日の正午過ぎ。同国で広く視聴されているニュース番組の中でウィンドウズ8を取り上げ、そのセキュリティに問題があると報じたという。

中国、米国の情報収集活動、将校の起訴に報復か

 番組では専門家とされる複数の人物が、OSメーカーは電話番号や銀行口座情報を含む利用者のデーターを入手することが可能と指摘、「OSをコントロールする人なら誰でも、利用者のすべてのデータをコントロールできる」と伝えた。

 また、マイクロソフトが米政府と連携し、サイバースパイ行為を行ったとする専門家の話も放送した。ウォールストリート・ジャーナルによると、同国では米国家安全保障局(NSA)の元契約職員、エドワード・スノーデン容疑者が米当局の情報収集活動を暴露して以来、こうした話題がセンシティブになっている。

米がサイバー攻撃で中国軍将校5人を起訴

中国当局の米国批判は、米司法省が中国人民解放軍の将校5人を起訴したことへの報復措置の一環と見られている〔AFPBB News

 これに先立つ今年5月、同国の中央政府調達センター(採購中心)が「政府調達のパソコンにはウィンドウズ8以外のOSがインストールされなければならない」とする通達を行った

 また、ほぼ時を同じくして、米司法省が米企業などに対するサイバースパイの容疑で人民解放軍の将校5人を起訴したと発表した。こうしたことを受け、中国当局は米国批判を強め、報復措置を取っていると伝えられている。

 5月下旬、中国政府は国家安全と公共の利益を守るためとして、外国企業のIT製品やサービスに対する検査を強化すると発表した。その数日後には国内の銀行に対し、米IBM製サーバーを撤去して国内製品に置き換えるよう政府が迫ったと伝えられた

中国メディアが批判、「米企業は米政府の手先」

 マイクロソフトのような米国のIT企業は、今後もこうした批判や反発、報復の対象になる可能性があると指摘されている。例えば、6月初旬、天安門事件の発生からちょうど25年となるのを前に、米グーグルの検索サービスなどがアクセス不能になったと伝えられた。

 また英ロイター通信などによると、中国共産党の機関紙、人民日報はグーグルやアップル、マイクロソフト、フェイスブックなどを米政府の手先と表現し、中国を監視していると非難した。