着々と進化する世界のハイブリッドモデル

ポルシェのプラグインハイブリッドの考え方
2013.6.12(水) 両角 岳彦 follow フォロー help フォロー中
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2013年7月末から欧州市場に出荷開始。日本へも年内には投入されるポルシェのプラグインハイブリッド第1作、パナメーラS E-Hybrid。スーパーチャージャーを装着したV型6気筒、エンジンとの間にモーターを組み込み8速ATと組み合わせた動力機構から後輪へ駆動軸が伸びる。車体後部の荷室下部に大容量のリチウムイオン電池を収め、そこから前部の電力制御系、さらにモーターへとオレンジ色の太い電力配線が伸びる。(画像提供:Porsche)
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従来のVWグループSUVのハイブリッドモデルが使っていたニッケル水素電池からリチウムイオン電池になり、9.4kWhの容量を持つバッテリーパック。角形セル13個を1モジュールとしてそれを4パックずつ上下に重ねて合計104セル。この全てを直列につないだ定格電圧は384ボルトと高い。(写真:筆者)
自宅などで長時間駐車している時に電力網につないで電池を充電しておき、市街地など騒音や排ガスが問題になるゾーンではその電力を使って電動駆動で走り、電力がなくなったらエンジンで走って航続距離を伸ばす、というのがプラグインハイブリッドの「定石」だが、ポルシェとしてはドライバー自身が今走っている場所、これから行く場所を考えて「E-POWER」(電動走行)、「E-CHARGE」(エンジンに負荷をかけて発電)を選んで使い分けることを推奨する。いずれネットワークと接続しつつ移動プランを組み立て、その中で電動走行、エンジン充電をクルマの方が使い分けるインテリジェント化も想定。(図版:Porsche)
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センターコンソールのセレクターレバーの根元右側のスイッチ群の中に「E-POWER」(赤のLED点灯、つまり電動走行中)、「E-CHARGE」の押しボタンが並ぶ。(写真:筆者)
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「ワークショップ」らしく基礎的な理論の確認に始まり、現実の解析から導かれる最新技術までのプレゼンテーションが3セッションと実車体験が用意されていた。ガソリンエンジンの熱効率マップ、より具体的には燃費率(ある仕事量に対して消費される燃料量)の分布状況という基礎から「ハイブリッド制御の原理構築」を語ってゆくこの分野の責任者、マテアス・レドラー博士。(写真:筆者)
実用燃費の評価と解析の一典型としてポルシェが使っている「シュトゥットガルト周回コース」。グラフの青色の線が車速で、発進停止を繰り返す区間(市街地と周辺エリア)、時速70~90キロメートルで走る郊外路、時速120キロメートル前後を維持するアウトバーンが組み合わされている。赤色の線は道路の勾配を示す。ここを通常のガソリンエンジン搭載、スタート・ストップ(アイドリングストップ)付きのパナメーラで走った結果は平均時速53.5キロメートルで平均燃費100キロメートル走行にガソリン9.9リットル、日本流には1リットルあたり10.1キロメートル。(図版:Porsche)
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市街地~郊外路~アウトバーンというコースを走った時に燃料消費を削るアイテムの作動状況を示す。黄色は通常エンジン車両のスタート・ストップ(アイドリングストップ)作動、緑色はさらに減速や下り坂でアクセルを離した時にエンジンを止めて駆動から切り離す「惰行」機能。そして青色は電動駆動。途中、市街地で仕事や買い物で止まっている間にプラグインで充電すれば、青い帯の中はエンジンを切ったまま電動駆動で走れる、ということを示す。(図版:Porsche)
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「プラグイン」状態のパナメーラS E-Hybrid。専用の充電器は欧州の220~230ボルト電源につないで電池容量の常用範囲(おそらく全容量9.4kWhの中で最大80%)を4時間足らずで送り込むことができる。この日も通常の家庭用電源からコードを引っ張っていた。世界各国から集まったジャーナリストの同乗体験ではホッケンハイム・サーキット近隣の集落の中を抜け、アウトバーンを走るという28kmほどのコースを合計42回も走行。常に3~4名乗車、エアコン作動。強い加速や時速200キロメートルに達する瞬間もある、という走り方で、平均燃費は1リットルあたり22.7キロメートル(電力使用量は不明)だったという。(写真:筆者)
アウトバーン走行中のパナメーラS E-Hybrid。中央の大径メーターで時速123キロメートル、エンジン回転は「ゼロ」、つまり停めたまま電動走行していることが分かる。その右のメーターでは電池残量がまだ10分の7あって、このペースで18キロメートルのEV走行が可能、と表示されている。(写真:筆者)
アウトランダーPHEV。前後にモーターを置いて、それぞれ2輪を駆動する電動4輪駆動を基本とする。フロントにモーターと一体に置かれたエンジンは、電池の残量や負荷(加速の強さ)に応じて始動、発電機を回してモーターに電力を供給する(シリーズハイブリッド状態)。通常は時速120キロメートル以上、電池残量が少なくなった状態では時速70キロメートル前後からクラッチをつないで前輪を「直結」で駆動する。(図版:三菱自動車)
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