EVも原発も「定説」と「感情」だけで語り続ける日本のメディア

科学技術を読み解くことを怠ったニュース作りが日本をダメにする
2012.8.2(木) 両角 岳彦
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内燃機関でクルマを走らせるのに「発進+変速」のメカニズムは不可欠。その現状と将来予測もZF社の講演の中で紹介された(左の円グラフが2008年の状況、右が2016年の予測)。コンベンショナルなトランスが今後も圧倒的多数派であり続けるのだが、日本メーカーだけが突出して好むCVTは他では使われない。なぜならば特定の試験モードだけは適合しやすいが、伝達損失が大きすぎて現実の走行の中で無駄に燃料を消費するから、というのも欧米の技術常識となっている。(図版提供:ZF)
シェルがカタールに建設した大規模なGTL(ガス・ツー・リキッド)プラント。2011年6月から製品出荷が始まっている。採掘された天然ガスをその採取場所の近くで化学合成してディーゼル燃料を作る。その生産能力は1日14万バレル(22万キロリットル)だという。ヨーロッパのディーゼル車はすでにここで作られた燃料も使って走っているのである。(写真提供:Shell)
LNG(液化天然ガス)を海上輸送する専用タンカー。船体にはめ込まれた巨大な球状の構造物が、摂氏マイナス160度以下に冷却されて液体になっているLNGを貯蔵するための断熱タンク。いうならば巨大な「魔法瓶」である。とはいえ刻々と沸騰が起こり、タンクの中にガスとなって出る。すると圧力が高まって構造的に厳しくなるので、大気に放出する。このガスの一部を推進用内燃機関で燃やす船も増えているようだが。(写真提供:shell)
ヨーロッパではエネルギー企業や自動車メーカー、公的機関などが、温室効果ガスを増やさない「グリーンフューエル」の開発に積極的に取り組んでいる。それも食用作物と競合しないような植物、例えばこの写真に示すような木質チップや植物繊維(セルロース)から化学的に作り出すプロセスを「将来の本命」と捉えている。(写真提供:Daimler)
公開されている「受発電状況」から整理した日本の月刊発電総量と、そのエネルギー源別内訳(他社受電と揚水発電についてはグラフ化していない)。ついに2012年6月で「原子力発電“ゼロ”」になった。
電力供給総量そのものは、2011年8月と2012年1月が「ピーク削減」の傾向が見られることを除いて「目に見えて」減ったとは見受けられない。2012年6月の減少傾向は天候不順(=気温低め)の影響が大きいと見た方が論理的。すなわち、大規模消費者(企業など)は様々な節電努力を積み重ねている一方、庶民生活を核とした一般社会の「節電」の成果は、実質、ほとんどない。“掛け声”と“我慢”の節電では、実効的成果は得られない、という現実が読み取れる。もちろん、原子力発電が急減したの部分を補っているのは、火力発電の増大=その結果は直接、CO2排出量増加に結びつく、以外の何物でもない。
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エネルギー源別に見た「火力発電」。いまや日本の電力供給の生命線を握る火力発電に消費した燃料の総量と、そこで使用した燃料(エネルギー)を熱量ベースで積算したグラフ。すなわち毎月の火力発電に消費した燃料の熱量の大きさを積み上げたもの、と受け取ればいい。
火力全体の中でLNGの消費量が原発事故以後に急増したが、ある時期からその絶対量は頭打ちになっている。現状の大規模発電設備の中で「LNG焚き」の発電設備を24時間フルに稼働させる限界に到達している状況が続いていると見ていい。これ以上増やすには発電所の新設が必要、ということだ。
そして、CO2排出量が多いからと一時稼働停止~廃棄に向かっていた石炭燃焼、そしてもったいない原油「直焚き」の設備もフルに近い稼働状態を続けていることが、燃料消費量から読み取れる。
LNGを含めた燃料輸入量の増大は貿易収支を圧迫して赤字に転化させてしまった。世界的に需要が増している天然ガス資源の“取り合い”も、輸入コストはもちろんだが、日本にとってはエネルギー安保の面でも不安を拡大させるに十分なレベルだ。
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