プラットホーム方式の先を行く
フォルクスワーゲンの新構想「MQB」

2012.3.30(金) 両角 岳彦 follow フォロー help フォロー中
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フォルクスワーゲンが行った「MQB」に関するメディア向けワークショップの説明資料から。「プラットホーム」方式では伸び縮みさせるだけで同じようなサイズのクルマしか共通化できないし、個別の空間デザインの自由度も縛られる(左)。そこで共通化することでメリットが生まれる要素を「モジュール」化し、制約の少ない共通骨格と組み合わせることで、より幅広いサイズと車型で作り手側が求める共通化が可能になる(中)。これが「MQB」が意図している段階。
次のステップとしてはクルマを構成する要素のほとんどをモジュール化、それぞれの組み合わせ方によってベースラインから多機能までを実現、車体骨格は製造プロセスを進化させることで共通化しなくても、大量生産する工業製品としての自動車が成り立つようにする(右)。
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フォルクスワーゲン・グループの「モジュール・マトリクス」群の全体像をクルマの大きさと価格で整理したイメージ。
「NSF」は2011年後期、欧州市場から導入が始まった「UP!」を第1弾とするスモールカー。すでに新しいものづくりコンセプトが一部導入されているものと考えられる。
本格的なモジュール・マトリクス化はその上の「MQB」から始まる。現行車種でいうと「A」がポロ、「B」がゴルフ/トゥーラン/ティグアン他、「C」がパサート/シャランに対応する。成熟した市場と成長途上の市場で価格が異なり、それに対応してモジュールの組み方が変わる、というイメージだが、実際には途上国・地域でも上級車種を求める富裕層がいる。それも上に伸びるベクトルの対象。
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モジュール化を織り込んだ「MQB」の基本思想を示すイメージ。
基礎となる骨格に走行機能要素を組み込んだ展示用モデルなので、従前のプラットホームと変わらないかのように見えるが、共通化するのは「uniform」と書かれている前輪から車室前面隔壁まで。それも幅方向にも伸び縮みできる(そうでないと「ポロからパサートまで」はカバーできない)。それ以外の部分は個別のモデルに最適なサイズ、形態に適合する。
もちろんそうした骨格や構成を可能にする製造側のリニューアルがあってこそ可能になる。先頃発表された新型アウディA3が「MQB」に沿って開発された最初のモデル、のはず(まだ詳細不明)。
「MQB」に向けて準備されている基本構成要素。主骨格を形づくる鋼板の組み方そのものから大きく変えようとしていることが見て取れる。
動力源搭載空間を囲む基本ブロックだけは共通化。床面から車室側面は今まで「梁」と「柱」の組み合わせだったが、太い前後方向の梁を通しておいて、その外側に内外二重構造の「壁」を接合する、という構成に変えるという。
前後・左右に組み合わせる構造材には日本車がまだ導入できないできる熱間成形の超高張力鋼板を、現状よりもさらに多く使って、破壊強度を保ちつつ軽量化を進める。骨格への軽合金の混用も想定。
踏力源は「何でもあり」だが、基本となるガソリン、ディーゼルともに進化した新型を準備した。特にガソリンエンジンはまったく新規に開発されたもので、技術的にも興味深いアイテムが多々組み込まれている。軽負荷時には4気筒のうち2気筒を休止させて熱効率を高める仕様もある。
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フォルクスワーゲンの「MQB」公表に何日かの遅れで日産が発表した「新プラットホーム構想」。

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