時間をかけて進めるべき「脱原発」

火力頼みの社会に潜む大きなリスク
2012.2.1(水) 両角 岳彦
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[グラフ1] 2010年1月~2011年12月の各月、日本で作られた電力の総量(棒グラフそれぞれの高さ)と、それがどんなエネルギーによって作られたかの内訳を示す。
発電総量は夏、冬それぞれにピークが現れる形で変動し、東日本大震災の後、6~9月は前年に比べて確実に減ったが、この冬に入って前年並みレベルに戻っていることが分かる。そして、2011年3月から原子力発電が刻々と、明らかに縮小し、その分(以上)に火力が増えている。水力は季節変動が明確。「新エネルギー」の現状は、このグラフでは確認できないほど小さな発電量でしかない。
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[グラフ2] グラフ1と同じ時期に、火力発電に使われた燃料それぞれの消費量を示す。単位はLNG、石炭が「万トン」、石油系が「万キロリットル」。
液化天然ガス(LNG)と石炭は重量で、それ以外の石油系燃料は容積で示しているので、それぞれの棒グラフの高さが発電量に即しているわけではない。特に石炭は他の4種に比べて重量あたりの発熱量(エネルギー)が小さいので、それを勘案した場合はここに表れているものの半分ぐらいの高さになる。
いずれも2011年7月あたりから消費量が前年に比べて大幅に増え、特に冬に向けて、原発からの電力が失われるのに対応して増加傾向がさらに大きく表れている。LNGは、産出地側での液化設備、海上輸送の船舶容量などに限りがあるはずで、それが増加を抑制している可能性も考えられる。さらに世界的に天然ガス需要はGTL(天然ガスの液化燃料化)も含めて増加し、価格が押し上げられている。日本は「足元を見られる」ことも考えなければならない。原油「直焚き」が重油と同じレベルに増えていることも、決して好ましいことではないはず。
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[グラフ3] 東京電力が供給した1時間毎の電力量を、連続して2011年1月1日からプロットしていったグラフ。実電力需要-供給の変動がそのまま表れている。
3月11~15日の大きなドロップ(それまでとの落差)に、改めて東日本大震災の被害の甚大さを思う。そこから「電力供給逼迫」「節電」のアナウンスによって4月いっぱいまでの1カ月半は、電力供給量が全体にジワジワと低下していったが、そこから横這い。夏に入ると波打つように上昇傾向が表れるが、全体に節電効果があったことは1~2月よりも低下していることからも読み取れる。
しかし12月に入って冬の本格化とともに前年と同じレベル、変動幅(波の形)が表れている。冬の「節電」は難しいのと、4月以降、夏にかけてのように行政やメディアが声高かつ具体的に「節電」を推進していないことがこの波形につながっている。
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[グラフ4] 東京電力の各日の電力供給ピーク量と、そのカバーエリアを代表して東京の気温(1日の最高・最低)を連続してプロットした。ピンクの縦目盛線は日曜日を示す。
こちらは2011年夏、7~9月のもの。土・日曜日には一気にピークが下がるのと、もう1つ、最高気温に連動して供給電力のピークが上昇することが、明確に表れている。特に8月8~18日のピークは高い。逆に最高気温が30度以下になるとピーク電力も大幅に低下している。
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[グラフ6] 東京電力(東電)、関西電力(関電)、東北電力(東北)、九州電力(九州)それぞれの、2011年12月~2012年1月現在の電力供給ピーク値(実績)をプロットしたグラフ。東京電力、関西電力、九州電力については各日の最大供給能力も同時に示している。
薄いグレーの線はそれぞれの電力会社ごとの変移の傾向を大きく見るライン。どこも1月に入って電力消費・供給が明らかな上昇傾向を見せている。供給能力の余裕はもちろん火力発電によって作り出すもの(これは従来も同様)だが、原発が全て止まることで、各事業者ともこの能力は低下する。このまま推移して夏を迎えた時、それぞれの地域、事業者においてピーク需要に対する余力はどれほど残っているだろうか。
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