対立・分裂で迎える249年目の独立記念日
米国のドナルド・トランプ大統領が「イランの核施設空爆は大成功だった」と自画自賛しているにもかかわらず、米主要メディアはトランプ政権の国防情報機関の極秘報告書を引用して「空爆でイランに与えたダメージは制限的だった」と報道した。
(Strike Set Back Iran’s Nuclear Program by Only a Few Months, U.S. Report Says - The New York Times)
頭にきたトランプ氏は6月25日、自前のSNS「トゥルース・ソーシャル」に該当の報道を行ったニューヨーク・タイムズやCNNの記者たちを激しく個人攻撃した。
米各情報機関を総括する米国家情報長官室(DNI)のトゥルシー・ギャバード長官は、(トランプ氏に命じられたのか)大統領発言を弁護してSNS「X」(旧ツイッター)にこう投稿した。
「イランの核施設が破壊されたという大統領のたび重なる言及は、新たな情報を通じて確認されている」
「もし、イランが(核施設)再建を選ぶなら3か所の核施設(フォルドゥ・ナタンズ・イスファハン)をすべて再建しなければならず、それには数年かかるだろう」
「宣伝・扇動メディアは不法に流出した秘密情報評価の一部を選別的に公開した。その評価が『低い確信』のもとに作成されたという事実を報道から意図的に外した」
さらに、キャロライン・レビット大統領報道官は、FOXニュースのインタビューでこう語った。
「第1級国家機密の国防情報機関報告書の内容をメディアに流出させた人物に対して連邦捜査局(FBI)が捜査に入った。これをメディアに流出させた人間は刑務所に入るべきだ」
敵と見たら地の果てまで追いかけるトランプ流政治は健在である。
だが、メディアが大統領の発言を文字通りには受け取らないのは、トランプ氏が日頃、事実誤認と大言壮語を繰り返してきたためだ。
まさに「自業自得」なのだが、世界を驚かせたイラン核施設攻撃を独立記念日の華にしようとしていた(?)トランプ氏としては憤懣やる方ないところだろう。
実際のところ、7月1日現在、攻撃の評価はまちまち。
「米国といえども攻撃で核施設がどこまで破棄されたのかは、実際に人を使って核施設をチェックしない限り分かるはずがない」(軍事専門家)
保守派シンクタンク「フーバー研究所」のサイトでは、トランプ第1期政権の大統領国家安全保障担当補佐官だったH・R・マクマスター退役陸軍中将ら軍事専門家が精査している。
専門用語を使った詳細な論議が繰り広げられているが、推測の域を出ていない。
(Call Him Daddy: Assessing America’s Strike On Iran)