都心から軽井沢周辺まで、マツダ「ロードスター」の4代目(ND)で約800km走行し、販売好調の理由を考えた(写真:筆者撮影)
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現行の4代目(ND)が登場して今年で10年目となる、マツダ「ロードスター」の販売が好調だ。コロナ禍以降、ロードスター人気は再燃していたが、ここへ来てさらに販売が伸びているという。その理由は何か? 毎年恒例、長野県の軽井沢町で開催される、国内最大級のロードスターファンイベント「軽井沢ミーティング2025」(5月24〜25日)へ4代目(ND)で向かい、マツダ関係者らと意見交換しながら「ロードスター人気」の根源を探った。

(桃田 健史:自動車ジャーナリスト)

 マツダ「ロードスター」の販売が好調だ。マツダが発表した4月の国内販売実績によると、乗用車と商用車を合わせて1万657台。このうち、登録車が8316台で軽自動車が2341台。登録車の中で最も多く売れたのが、ロードスターで1916台。次いで「マツダ2」(1696台)、「CX-5」(1121台)と続く。

 長年、マツダ国内販売に携わったマツダ関係者は「これまでの常識では考えられない、驚くべき現象」と表現する。

 4月に販売台数が一気に伸びた直接的な理由は、2024年12月25日に発売を開始した「35周年記念車」の影響だ。ソフトトップモデルと、RF(リトラクタブルハードトップ)を合わせて1000台を見込んだが、マツダの想定以上にRFの受注が多かったようだ。

 こうした特別仕様車の導入に刺激され、ロードスターの通常ラインナップでも受注が増えたものと考えられる。

 一方で、本来は国内市場で主力となるべきコンパクトカーの「マツダ2」は、マイナーチェンジを繰り返すも、同セグメントトップのトヨタ「ヤリス」を追撃するほどの勢いはない。

 また、販売店にとっての稼ぎ頭である「CX-5」は、フルモデルチェンジが目前と言われているものの、未だに詳細な情報がマツダ本社から発信されていない状況。モデル末期でも売れるクルマだが、フルモデルチェンジを前に買い控えるユーザーも少なくないだろう。

 マツダが国内市場での切り札として、満を持して投入した「CX-60」だが、市場から指摘された乗り心地の改善に苦慮し、販売実績が回復するまで時間がかかった。

 さらに上級の「CX-80」を導入して、マツダがいうラージ商品群の基盤ができたが、高額商品であるため一気に販売を伸ばすのは難しい。

 こうして、マツダにとって販売台数を増やすべきモデルが足踏み状態の中、ロードスターの販売の伸びが特別仕様車の発売をきっかけに目立つ状況にある。

 では、初代(NA)登場から直近の35周年記念NDに至るまで、長きにわたりロードスター人気が続く理由は何か。