
AESC(アスク)は2007年に日本で設立され、中国企業が筆頭株主となった現在も横浜に本社を置くバッテリーメーカーだ。世界で最も早くからEV用リチウムイオンバッテリーを生産してきた企業の1つであり、その歩みはEVバッテリーの歴史とほぼ重なるといってよい。AESC座間工場を見学に訪れた自動車ライターの大谷達也氏が、AESCのこれまでとこれからをリポートする。
当初は日産リーフに供給、現在の生産能力はパナソニックに匹敵か
AESCは日本最大級、グローバルでも屈指の生産量を誇るリチウムイオンバッテリーメーカーである。
具体的な生産能力をAESCは公表していないが、2024年時点で明らかになっているものだけでも年産26GWhに上る。
韓国のSNEリサーチによれば、世界最大のEV用バッテリーメーカーは中国のCATLで、2024年度の供給実績は339.3GWh。以下、BYD(中国)の153.7GWh、LGエナジー・ソリューション(韓国)の96.3GWhと続くが、4位のCALB(中国)は39.4GWhで、ここから6位のパナソニック(日本)の35.1GWhまでは30GWh台のメーカーが続く。
一方、2024年時点で稼働していながらその生産能力を公表していないAESCの生産拠点は、イギリスのサンダーランドや中国の江陰など合計で4工場に上るので、30GWh台の供給体制が整っていたとしても不思議ではない。その意味で、AESCはパナソニックに匹敵する規模のバッテリーメーカーといっても過言ではないだろう。

AESCは2007年に設立されたオートモーティブエナジーサプライを源流とする日本企業。ひょっとすると、同社のことは「日産リーフのバッテリーを供給するために設立されたメーカー」と説明した方が分かりやすいかもしれない。