
生成AIによる検索が広がる中、企業は悪夢のような現実に直面しつつある。AI検索のまとめ機能でユーザーが満足し、元ページに来ないという問題だ。これまでのSEOの常識が塗り変わる中で求められるGAIOとは。(小林 啓倫:経営コンサルタント)
先日、この連載で「GAIO」という概念があることを紹介した。これは「Generative AI Optimization」の略で、マーケティングの分野で使われる場合、「生成AI最適化」という意味となる。かつての「SEO(Search Engine Optimization)」すなわち「検索エンジン最適化」になぞらえて、生成AI時代に自社サイトへの流入を呼び込むために、生成AI向けに行う各種の対策を指す。
なぜGAIOが叫ばれるようになったか。それは消費者がウェブ上のコンテンツにアクセスするとき、その入り口となるのが、検索エンジンから生成AIに替わりつつあるからだ。
たとえばいま、大河ドラマで江戸時代の出版人・蔦屋重三郎が取り上げられている。彼が何者か調べたかったとき、これまでならGoogleに向かって「蔦屋重三郎 生涯」などのようなキーワードを打ち込んでいただろう。すると、検索結果が表示されて、そこからさまざまなウェブサイトのさまざまなページに飛ぶことができるわけだ。
しかし、技術の進化により、いまや生成AIが自ら他のウェブサイトにアクセスし、そこにある情報を拾い集めて表示してくれるようになっている。たとえば、次のスクリーンショットは、ChatGPTの「Deep Research」というレポート作成機能を使って、蔦屋重三郎の生涯をまとめさせた結果だ。

これはごくごく冒頭の部分であり、全体だと日本語で7000字を超える分量だ。書かれているそれぞれの情報について、どのようなサイトを参照したかについては、文中のリンクから飛べるようになっている(たとえば、この中ではサントリーのサイトなどが参照されている)。
もちろん、もっと短い答えを生成させることもできるのだが、要するに「ググる」のではなく「生成AIに聞く」のが情報にアクセスするための入り口になっているのだ。別の言い方をすれば、もはや「ググる」のは人間ではなく、AIになりつつあると言えるだろう。
先ほど蔦屋重三郎の情報を出力させた私は、ChatGPTがググってまとめてくれた情報を読んでいるに過ぎない。もちろん情報ソースへのリンクは表示されているので、先ほどのサントリーのサイトに飛ぶこともできるのだが、多くの場合はこれで事足りてしまう。