だが、中国自身は、逆の方針を何度か示唆したにもかかわらず、外貨準備を米ドルで保有し続けている。
世界の決済システムにおいても、米ドルはいまだに圧倒的なシェアを維持している。
為替レートが発端となってグローバル危機が生じ、米当局が動くことになる兆しは全くない。
確かに、米ドル高は低所得国全般に打撃を及ぼし、大量のドル建て国債を発行したアフリカやアジアの低所得国は苦境に陥る。
だが、ブラジルやインドのような大きな新興国は、自国通貨建ての借り入れにおおむね移行している。
競争力を高めるために複数の通貨で為替レートが組織的に操作されている証拠もない。
中国人民銀行はここ数カ月間、人民元レートを引き下げるためではなく安定させるために介入していたように見える。
日本の金融引き締めも、日本の当局が円安を目指していないことを示唆している。
米中双方が輸出主導のモデルに走れば衝突
米国で景気が減速し、(もしかしたらトランプ氏の新政権の下で)気候変動対策事業に対する大規模な補助金プログラムが打ち切られれば、難局が訪れるかもしれない。
内需が弱くなれば、製造業の回復を継続させるために米国は輸出に力を入れなければならなくなるからだ。
もし中国がそれと同じようなことを考えているなら、両国は直接ぶつかることになる。
今年の中国の経済成長は振るわなかった。