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Japan Innovation Review | <PR>– 2023.9.29

2020年2月、長谷川秀樹氏がCIOに就任した当時のコープさっぽろは、インフラはほぼ100%オンプレミス、業務やワークフローは紙中心で、コミュニケーションは電話かFAX。ベンダー依存が強く、社内にエンジニアは一人もいない自他ともに認める超アナログ組織であった。そこからいかにしてクラウドネイティブな働き方にシフトしてきたのだろうか。

まずは会議、資料作成、
意思決定をなんとかしろ

長谷川氏がコープさっぽろのCIOとして最初にメスを入れたのは、システムではなく、職員の生産性だった。

「システムを変えたところで生産性は上がりません。システムを使った業務は全労働時間の約1割。9割は会議やコミュニケーション、資料作成に費やしている。まずは後者を変えるほうが圧倒的に生産性は向上します」(長谷川氏)

生活協同組合コープさっぽろ 執行役員 CIO デジタル推進本部 本部長 長谷川 秀樹氏

生活協同組合コープさっぽろ
執行役員 CIO
デジタル推進本部 本部長

長谷川 秀樹

分かりやすい例が会議だ。コープさっぽろでは、Googleドキュメントを使って、プレゼンの間に参加者が「この数字の根拠は?」「詳しくはこのリンクを参照」など、質問や補足情報を書き込んでいく。Googleドキュメントだから全員が同時に書き込んでも会議の進行は止まらない。プレゼンが終わる頃には質問が出揃い、中には参加者同士のコメントですでに解決していたりする。

長谷川氏は、数年前の苦い経験を明かす。

「一時期、多くの企業がデジタル化=ペーパーレスだと解釈し、会議資料を印刷して配るのをやめたり、タブレット端末で見れるようにしました。どうなったか――『A3の資料は字が小さすぎて読めないから印刷してくれない?』。紙でやっていたことをそのままデジタルに置き換えても意味がありません。デジタルの住人になったつもりで、デジタルならではのやり方にシフトすることが不可欠です」

必要なのは、
「DX後の世界を語れる人」と
「組織内を動かせる人」

とはいえ、紙を前提としてきた人々が、いきなりデジタルならではのやり方を発想し、それを是として組織内を変えていくのは難しい。今の技術を使えば何ができるのか、答えを知っている人の存在は武器になる。長谷川氏のおすすめは、紙もFAXもないところからビジネスを作り上げてきたベンチャーやスタートアップの経験者を仲間に入れることだ。

さらに不可欠なのが、DX後の世界へと組織内を動かせる人の存在だ。こちらは組織内で人望があって「あの人が言うならやってみるか」と周囲を前向きな気持ちにさせられる人が適任だという。コープさっぽろの場合は、この役割をある本部長が担った。

「一般に、DX推進には若手がアサインされることが多いでしょう。すると、少なからず『そんなの無理だ』と後ろ向きな発言をする先輩が現れる。上位職が担うことで、そういう人が出てこなくなり、組織内の機運は一気に高まります」

重要なのは、100点を狙わないこと。人には得手不得手があり、どうしてもデジタルは嫌だという役員もいるだろう。100点を目指してやる気のない人を説得しようなんて時間の無駄だ。

「コープさっぽろでは、各部署から適任者を選出し、Google が提供する AppSheet(ノーコード開発ツール)の勉強会をしています。初回は7、8部署が参加を表明し、半分が不参加。でもそれでいいんです。『参加率を上げろ』とは一瞬正論のように聞こえますが、やる気満々の人たちに一生懸命教えて盛り上げて、『面白そう』とか『自分もやってみたい』とか、そういう空気を社内に広めることのほうが効果的。全員の足並みが揃うのを待っていたら、DXなんて100年かかっても無理なんだから」

長谷川氏の目下最大の関心事は、生成AIだ。コープさっぽろでは、複数の生成AIを検証しながら職員向けの勉強会を重ね、実務に取り入れている。

「生成AIの登場は、インターネット、スマホの登場に次ぐインパクトがありました。これは何が何でも食らいついていきたい。コープさっぽろでは、Slackと生成AIを連携し、メンションすれば質問に答えてくれるようにしたり、Google スプレッドシートに生成AIのAPIを組み込み、回答を自動取得して資料を作ってもらったり、便利に使っています。ここでも重要なのは、100点を求めないこと。生成AIが出す答えに間違いを見つけては、『まだまだだな』と言っている人は、そもそも使い方を間違えています。生成AIの本質は、その名の通り生成できることにある。どんなに優秀な人間でも、10分で100社のSWOT分析は無理です。人間が1週間かけてやることをAIが10分で8割方作ってくれて、それを人間が手直ししていくほうが精度も生産性も格段に上がります」

長谷川 秀樹氏

Chromebook で
クラウドネイティブな
働き方を実現

3年前とは比べ物にならないほどの変貌を遂げたコープさっぽろ。今まさにクラウドネイティブな働き方の実現を急いでいる。合言葉は、スタバで仕事ができるようにする。スタバで仕事をするには、社外から社内システムを操作できるようにしたり、セキュリティを強化するなど、さまざまなハードルを越える必要がある。

「理想は、ブラウザだけで全てが完結することです。コープさっぽろでは、一部で Chromebook を始めました。全ての社内システムが最新の ChromeOS で動くよう、バージョンアップを図っている最中です。ゆくゆくは組織全体に Chromebook を展開したいですね」

最大の懸念はセキュリティだが、Chromebook なら標準のセキュリティ機能だけでも多層防御のアプローチがとれる。

「利便性を追求しながらセキュリティも高められる。これが、私が Chromebook を選んだ一番の理由です。多くの企業のセキュリティ規定には、あれはやるな、これもやるなと禁止事項が並んでいます。あるいは、情報にアクセスするまでに複数の関門を立て、利便性を損ねている。あれは言ってしまえば情報システム部門の保身です。何かあったときに『ルールを破ったのはあなた。だからそちらの部署の責任ですよね』と言いたいがためのもの。コープさっぽろにもありましたが、全部消しました。そもそもユーザーは無邪気にいろんなことをするものです。それでも大丈夫な仕組みにするのが、情シス本来の役割ではないでしょうか」

Chromebook は、Google が提供する ChromeOS を搭載したノートPCで、ウェブブラウザやクラウドをベースとした働き方に適している。

最大の強みは、長谷川氏も注目するセキュリティだ。多層防御の原則に基づいて標準搭載されたウイルス対策機能によって、別途ウイルス対策ソフトや監視ツールを導入することなく、高いセキュリティを維持できる。また、自動アップデートや確認付きブートによって、ユーザーは常に最も安全な状態で Chromebook を利用できる。つまり、情シス部門の運用負荷を軽減しながら、ユーザーにとって快適な業務環境を実現できるのだ。

長谷川氏が重宝しているのは、クラウドをベースとした ChromeOS ならではの機能で、ユーザーのデータは全てクラウドストレージに自動バックアップされ、復元可能だ。ランサムウェアの標的になり得るデータはデバイス上にごくわずかで、ランサムウェアが ChromeOS のセキュリティ対策を回避した場合でも、ユーザーデータとファイルは簡単かつ瞬時に復元可能。悪意のあるアプリの実行はすべてブロックされるため、このような実行可能ファイルが実行されることもない。

また、ChromeOS デバイスは、企業、教育機関、一般消費者が使用するいずれでも、ランサムウェア攻撃は一度も報告されていない*。近年、猛威を振るい続けるランサムウェア対策の一つとしても有効だと言えよう。

* [ランサムウェアから企業を保護する Chrome OS]
https://cloud.google.com/blog/ja/products/chrome-enterprise/chrome-os-ransomware?hl=ja, 2021.7.7
※本記事は Google の広告企画です。
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