リサイクル用につぶされた缶(写真:アフロ)

「あれ、こんなところでおじさんが働いてる......」

 近年、非正規労働の現場で、しばしば「おじさん」を見かける。しかも、いわゆるホワイトカラーの会社員が、派遣やアルバイトをしているケースが目につくのだ。45歳定年制、ジョブ型雇用、そしてコロナ。人生100年時代、中高年男性を取り巻く雇用状況が厳しさを増す中、副業を始めるおじさんたちの、逞しくもどこか哀愁漂う姿をリポートする。

(若月 澪子:フリーライター)

 ウクライナ戦争などの影響で、アルミ製品の高騰が続いている。

 金属リサイクル業者のアルミの買取価格は、2020年まで1キロ当たり30〜50円程度だった。それがこの2年で180円前後まで高騰している。

 先日もアルミ製の門を一般住宅から強奪し、金属リサイクル業者に売却した埼玉の20代の若者数名が検挙されたというニュースがあった。

 アルミと言えば、資源ごみ回収の日にホームレスが集積所からアルミの空き缶を持ち去る姿を見かける。ホームレスのおじさんが空き缶でパンパンに膨らんだ大袋を自転車やリヤカーに積み込んで移動している姿を見ると、かなり切ない気持ちになる。ゴミ捨ての日に、ホームレスのおじさんに空き缶を渡したことも何度かある。

 ホームレスは、この空き缶回収で得るわずかな日銭で暮らす人が多い。しかしアルミ価格高騰の影響で、このホームレスの「シノギ」に、一般人が参入しているという。

 アルミ缶回収で2年前から収入を得ている大阪府在住のGさん(63)もその一人だ。

「アルミ缶集めは環境整備クリーン活動!アルミをリサイクルすることは、海外からの輸送で発生するCO2を抑制するから、地球規模での温暖化防止と環境保全に役立っているよ」

 終始、テンションの高いGさん。アウトドア系のウィンドブレーカーにカーゴパンツ、ナイキのキャップ帽をかぶる姿は、どこにでもいる普通のおじさんだ。

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