ウクライナのゼレンスキー大統領(写真:AP/アフロ)

(国際ジャーナリスト・木村正人)

ホテルの窓からドローンに向けた迎撃ミサイルを目撃

[ウクライナ中部クリヴィー・リフ発]キーウから400キロ以上離れたドニプロペトロウシク州クリヴィー・リフを再訪した。ウォロディミル・ゼレンスキー大統領が生まれた都市だ。

 6日午前「ボーン」という爆発音が聞こえた。間もなくスマホの空襲警報アプリが作動した。ホテル4階の窓から外をのぞくと、地面から打ち上げられたような飛行機雲と何かが空中で爆発したような煙の塊が残っていた。

 その直後、対空ミサイルが発射されるのが見えた。真っ青な空にもう1本の飛行機雲が伸びていく。どこまで飛んでいったのか窓からは確認できなかった。「ボーン」というのはキーウでも深夜に聞こえた無人航空機(ドローン)を迎撃する爆発音だ。

 前回のレポートで紹介した4日夕にキーウ旅客駅付近で撮影できた爆煙は、ロシア軍ではなく制御不能に陥ったウクライナのドローンを撃ち落したものと判明した。だが、ウクライナ各地でロシア軍のドローンが飛び交う状況が続いている。

迎撃ミサイルが残した2筋の飛行機雲(5月6日午前、クリヴィー・リフで筆者撮影)

  昨年6月キーウやクリヴィー・リフを訪れた際は空襲警報が鳴っても、間近で空襲や迎撃を体験することはなかった。ロシア軍の多連装ロケット砲BM-30「スメルチ」の最大射程は70キロメートル。高価な長距離ミサイルは数が限られているため、前線から70キロメートル以上離れていれば安全だったが、コストがかからないドローンで攻撃範囲はグンと広がったのだ。