(英フィナンシャル・タイムズ紙 2023年3月28日付)

習近平国家主席が先週、モスクワでの華やかな式典で盛大に歓迎されていた頃、岸田文雄首相は約800キロ離れたキーウ(キエフ)にいた。
中国の国家主席と日本の首相が同時にロシアとウクライナの首都をそれぞれ訪問したことは、ウクライナ戦争の世界的な重要性を浮き彫りにしている。
日本と中国は東アジアで熾烈な争いを繰り広げるライバル同士だ。
両国とも、自分たちの争いが欧州の紛争の結果によって著しい影響を受けることを理解している。
中ロの枢軸vs米国主導の民主主義国
ウクライナをめぐる中国と日本のこのシャドーボクシングは、より大きなトレンドの一環だ。
欧州大西洋地域とインド太平洋地域における戦略的な競合関係はますます互いに重なり合うようになっている。
そこから姿を現しつつあるのは、一つの地政学的闘争の様相を強めている争いだ。
習氏によるモスクワ訪問は、米ハーバード大学のグレアム・アリソン教授が「世界で最も重大な意味を持つ宣言されていない同盟」と呼ぶものの存在を裏付けた。
つまり、ユーラシア大陸全土に広がるロシアと中国の枢軸のことだ。
ロシア、中国両国は次第にイランに接近しており、先週出した共同声明では、北朝鮮が抱く「正当かつ妥当な懸念」も支持した。
中ロの同盟と真っ向から対峙するのは、米国と密接に結びついた民主主義国のグループだ。
この陣営は、欧州大西洋地域では北大西洋条約機構(NATO)によって支えられ、インド太平洋地域では日本を筆頭とする米国の条約同盟国によって支えられている。