(英フィナンシャル・タイムズ紙 2023年3月16日付)

今年一番奇妙だった瞬間は、ウラジーミル・プーチンが英国国教会を「口撃」した時だ。
教会の罪は、性的に中立な神の呼び方を検討したことだった。
本人が存亡をかけた戦いと見なす戦争の真っただ中にあって、プーチンは米国の同性婚、シェイクスピアやJ・K・ローリングが大西洋の両岸で「キャンセル」される動き、性別適合手術について心配する時間があるようだ。
FOX看板キャスターとロシア大統領の相似
プーチンが米FOXニュースの看板キャスター、タッカー・カールソンの後釜を目指してオーディションを受けていると思った人がいたとしてもおかしくない。
思えば、カールソンのレトリックは往々にしてロシア大統領のそれと区別がつかない。
カールソンはウクライナ大統領のウォロディミル・ゼレンスキーのことを「暴君」、ジョー・バイデンを「ウクライナのポン引き」「汚職まみれの独裁者」などと形容してきた。
本当はどう思っているのか、本人に聞いてみたいところだ。
インターネット上では、プーチンとカールソンのような不思議なそっくりさんが何組も指摘される。
だが、この組み合わせは見た目ほど奇妙ではない。
戦争反対に傾く共和党
共和党支持の有権者は着実に反戦に傾いている。共和党支持者のうち、米国はまだウクライナに武器を送るべきだと考えている人は40%に満たない。
大統領選挙の共和党候補として最も有力なドナルド・トランプとロン・デサンティスは、ともにウクライナ戦争懐疑派だ。
トランプは、自分が大統領になったら24時間以内に戦争を終わらせると言っている。
一方のデサンティスは先日、「ロシアとウクライナの領土紛争」にこれ以上巻き込まれることは米国の国益にならないと述べた。