えちごトキめき鉄道が企画した夜行列車には老若男女さまざまな乗客が、いつもと違う鉄道の良さを味わった(写真提供:えちごトキめき鉄道、以下も)

存続の危機に立つ地方ローカル鉄道の廃止は避けられないのか。ムーミン列車やレストラン列車などを走らせていすみ鉄道(千葉県)の知名度を一気に高め、今はえちごトキめき鉄道(新潟県)の社長を務める鳥塚亮氏に、ローカル線の可能性を聞くインタビュー連載。その第2回(中編)をお届けする。

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(池口 英司:鉄道ライター・カメラマン)

お金のない鉄道会社をどう活性化するか

──日本では少し前から、「町おこし」とか「活性化」といった言葉が使われて、衰退傾向にある自治体や、交通機関の活性化策が探られるようになりました。けれども、これらはいずれもぜい弱な経営基盤の上にあるわけですから、掛け声だけで問題が解決するはずがない。

鳥塚亮・えちごトキめき鉄道社長(以下、鳥塚氏):お金がない鉄道会社が活性化を手掛けようと考えたとして、それでは何ができるのか?

 ひと昔前は「SLを動かそう」というのが錦の御旗のごとく扱われていましたけれど、蒸気機関車の動態運転には莫大な費用がかかります。

 そこで私は、第三セクターの運営となったいすみ鉄道にJR大糸線から古い気動車を持ってきました。

 では、国鉄形の古い車両を持ってきさえすれば、それで喜んでもらうことができるのか?