(写真:アフロ)

 3月8日の「国際女性デー」を前に、「講演をお願いしたい」と依頼を受けた。まだ新聞社にいた3年前にも同じ団体から依頼を受け、「女性として、記者として、広島にいるということ」という演題で話す予定が、コロナで1年延期に。その後2021年の開催時は、演題はそのままでお話しすることとなった。退社を決めた直後だったので、一通り話した後、「会社辞めます」という宣言というか、報告をした。

子育てしていることを申し訳なく思わなくなったわたし

 そして、今年。「2年前にお話ししたばかりなので」と断ろうとしたが、ぜひにと頼まれた。そして「『フリーランスになって見えてきた広島』でどうでしょう」と演題を提案してもらった。

 フリーランスになって、果たして見えるものは変わっただろうか。講演の内容を考えつつ、遅々として終わらぬ確定申告の関係資料を前に、ああ、そういえば今回の申告分は、最初から最後までフリーランスだったな、としみじみした。昨年申告分は、半分がサラリーマン、半分がフリーランスだったのだ。

 確定申告という手続きこそ、サラリーマンだった21年間に経験したことはなかったので、これは大きな変化といえば変化。だが、会社を辞めても、同じ学校に子どもたちを通わせ、同じ家に暮らし、同じ街に税金を納めている。そして一応、引き続き「記者」という肩書きを名乗り続けている。

 たいした変化はないと思いきや、うまく言語化できないが、当初想像していた以上に生活の景色は変わった。同じ地方都市に住んでいるのに、視野が広がったというか、見える世界が広く深くなった。そして、「良かった!」と感じることの存在に気づいた。

 それは、子育てをしていることに関して、周りに「すみません」と謝ることがまったく無くなったことだ。