(英フィナンシャル・タイムズ紙 2023年2月27日付)

1世代前のことは人間は容易に忘れるものだ(写真は暮れなずむ上海の街)

 日本は今後数カ月で、恐らくは忘れたい記念日を相次ぎ迎える。

 だが、中国の指導部にとっては、しっかり認識しておくのが賢明な日付だ。

不動産バブルによって時計がチクタクと動き出した時限爆弾の爆発だからだ。

 何しろ昨今は、一部の人に言わせれば、明らかにこだまが響く時代だ。

 新たな調査リポートは、用心を怠ると、中国は新たな日本化の波に向かう恐れがあると示唆している。

20年前に日本を襲った時限爆弾

 2003年に、日本はもう万事が順調だと自らを騙すことができなくなった。1990年代は同国を、一時は米国を追い抜けるように思えた軌道から突き落とした。

 その後、1980年代の虚飾の時代に山のように積み上がった不良債権の処理を誤ったことで、日本が易々と回復できるという見通しがつぶれた。

 それまでの3年間に日本政府によって促された銀行の大型合併だけでは、互いに絡み合う未解決の危機の数々をごまかせなかった。

 2003年3月、三井住友フィナンシャルグループは巨額損失を抱えるなか、パニックめいた子会社との逆さ合併に踏み切った。

 4月には、銀行最大手の一角を成すりそな銀行の足元が揺らいでいる最初の兆候が現れ始めた。

 5月になると、170億ドル規模の国有化(公的資金注入)計画で納税者が同行を救済した。年末にかけて緊急クラクションが鳴るなか、かつて一流地銀だった足利銀行が破綻した。

 こうした出来事はすべて、もっと早くに爆発していたら被害がはるかに小さかったかもしれない先送りされた爆発だった。