ウクライナを電撃訪問し、ポーランドに立ち寄ったバイデン大統領に向け、F-16の供与を求めて気勢を上げる人々(2月22日、ワルシャワのバイデン大統領のホテル前で、写真:ロイター/アフロ)

 ロシアのウラジーミル・プーチン大統領は2月21日、年次教書演説の中で、改めてウクライナでの軍事侵攻を正当化し、戦争を始めたのは西側だと断言してみせた。

 この2時間弱の演説の中で、「彼らが戦場でロシアに勝つことは不可能だ」とも述べ、西側諸国は勝てないとする一方的な主張を繰り返した。

 そうした中、米国からは別な角度からの「勝利宣言」が発せられており、両者の言い分は明白な食い違いをみせている。

 2月17日に当欄で、筆者はウクライナに戦車を供与してもロシアには勝てる見込みが少ないとする記事(「死に物狂いのロシア軍には欧米最新戦車だけでは勝てない」)を書いた。

 その後、米陸軍大将が少数の米連邦議員に対して内密に、「ロシアの戦争マシンを崩壊させる手立て」を伝えていたことが分かった。

 陸軍大将というのは、欧州連合軍最高司令官を兼任するクリストファ―・カボリ氏で、先週ドイツで開かれたミュンヘン安全保障会議で、次のような主旨のことを議員たちに話している。

 正確な引用はできないが、議員たちからウクライナがロシアに勝つためには何が必要かとの質問がだされると、カボリ大将は「F-16」戦闘機の投入が必要であると答えたという。

 さらにF-16戦闘機と長距離ミサイルをウクライナに供与すれば「ロシアに勝つはず」と発言してもいる。

 ロシアに致命的な打撃を与えるためには、ウクライナ軍がより遠方からロシアの拠点を攻撃することが肝要で、F-16だけでなく長距離ミサイルやドローンも必要になってくるという。

 これまで米政府はウクライナへのF-16の供与は行っていない。