(英フィナンシャル・タイムズ紙 2023年2月10日付)

決済サービスを展開する米ビザがここ数カ月で、新しい機能を静かに提供し始めた。
クレジットカード利用者が自分の好みに応じて支出に上限を設けられるデジタルツールを導入し、例えばコーヒーバーで1週間に使える金額をあらかじめ決められるようにしたのだ。
別におかしなことではないと読者は思うかもしれない。
インフレが家計を圧迫し、米国のような国ではクレジットカード債務が記録的なレベルに積み上がっていることから、消費者には自制する理由がある。
Z世代は何を考えているのか?
だが、少し目を凝らすと意外なことが見えてくる。
ビザの新サービスは「Z世代」、すなわち1997~2012年生まれの若者の行動を急ぎ理解しようとする奮闘から生まれたものでもあった。
「(Z世代は)コントロールしたがる」
ビザ・ヨーロッパのシャーロット・ホッグ最高経営責任者(CEO)はこう説明し、同社は10代の若者や20代のヤングアダルトが何を考え、どう行動しているかを急いで「解明しようとしている」ところだと言う。
無理もない。
年長者が子供や孫のおかしな行動をとがめる――そして、彼らも「大人になったら」自分たちのようになるだろうと考える――ことは、大昔からどの社会でも見受けられる光景だ。
それに、今日の企業経営者の大半は「ベビーブーム世代(1946~64年生まれ)」か「X世代(1965~80年生まれ)」であり、このため多くの人がZ世代に困惑し、「ミレニアル世代(1981~96年生まれ)」と同じだと思い込む。