2月1日、米モンタナ州ビリングス市で撮影された中国の気球(提供:Chase Doak/EyePress News/REX/アフロ)

(山田敏弘・国際ジャーナリスト)

 中国の気球が騒動になっている。

 中国の偵察気球がアメリカ上空を飛行していると、最初に大きく報じられたのは2月2日のことだ。米国防総省のパトリック・ライダー報道官が、偵察用の気球がアメリカに飛来したと発表した。

 結局、気球はアメリカを横断して、4日にF-22戦闘機により、サウスカロライナ州沖で撃墜された。回収された気球に搭載されていた機器などは、バージニア州クアンティコにあるFBI(米連邦捜査局)の研究所で精査されることになる。

本当に「気象研究用」なのか

 中国側はこの気球が「気象研究用の民間の飛行機」であり、「不可抗力によってアメリカに迷い込んだ」ものであると主張し、アメリカの対応に激しく反発した。ただ、民間の飛行機であっても、アメリカの領空に勝手に入ったら、相応の対応が行われるのは当たり前である。まして無人の気球だ。撃ち落されても文句を言える立場にはない。逆に中国で同じことがあったら、同様の措置を取ることになるだろう。

 つまり、今回の件が不都合な事態だからこそ、中国側は過敏に反応していると見られる。今回の騒動は、単に気球がミスでアメリカに迷い込んだというような話では済まない。