(英フィナンシャル・タイムズ紙 2023年1月24日付)

2022年には、悪いことから良いことが飛び出してきた。
ロシアによるウクライナ侵攻を受け、民主主義陣営が結束と決意を素晴らしい形で示した。
米国、欧州連合(EU)、英国、日本、韓国、カナダ、そしてオーストラリアはロシアに対して前例のない経済制裁を科した。
ウクライナには数十億ドルの軍事・経済支援が提供された。
欧州では、ドイツが防衛・エネルギー政策の歴史的な転換を約束し、フィンランドとスウェーデンは北大西洋条約機構(NATO)への加盟を申請した。
中国が台湾に敵意を示し、ロシアとの「限界のない」パートナーシップを明言したこともインド太平洋地域で波紋を呼んだ。
日本は防衛費の大幅増額を打ち出した。フィリピンは米国との結びつきを強化した。
「クアッド」の構成国――インド、日本、オーストラリア、米国――は首脳会議を開催した。
欧州とアジアの民主主義国は連携強化にも取り組み始め、日本、韓国、オーストラリアがNATO(北大西洋条約機構)首脳会議に初めて参加した。
米国と同盟国の間に深刻な緊張
今年は、民主主義を標榜する先進国間の結束を維持することがかなり難しくなるだろう。
ロシアと中国のパートナーシップに民主主義陣営が対応するには、米国が積極的で腰の入ったリーダーシップを取ることが欠かせない。
だが、ここにきて米国政府とその同盟国の間に深刻な緊張が生じている。
欧州では、主要な問題は戦略と経済の両方に関係している。西側の同盟は、ウクライナへの今後の軍事援助をめぐってあからさまに割れている。
1月20日、ドイツ南西部のラムシュタイン米空軍基地で開かれた国際会議では、戦車「レオパルト」をウクライナに提供することを認めよという強い圧力にドイツが直面し、抵抗する場面が見られた。