(英フィナンシャル・タイムズ紙 2023年1月17日付)

「ロシアが終わったとは思うな」
これはモスクワ駐在経験が長い欧州の外交官がつぶやいた警告の言葉だ。妥当な指摘だ。
ウラジーミル・プーチンのウクライナ侵攻は、計画がひどく狂った。
だが、ロシアは今も豊富な資源を抱える巨大な国であり、情け容赦ない、残忍な政府をいただいている。
ウクライナの諜報機関は、追加の徴兵活動によってロシアが年内の新たな攻撃で総勢200万人の部隊を配備できるかもしれないと考えている。
ウクライナ大統領のウォロディミル・ゼレンスキーは最近、ロシア軍がまもなく首都キーウ(キエフ)制圧を目指す新たな攻撃に乗り出すかもしれないと警告した。
だが、戦場でのブレークスルーでさえ、ロシアに永続的な勝利をもたらすことはできなかった。
プーチンの軍が悪の奇跡を起こし、ウクライナを倒してゼレンスキー政権を転覆させたと想像してみてほしい。その後、どうなるのか。
現実はどうかと言えば、傷つき、孤立したロシアはその後、アフガニスタンなどピクニックに思えるような数十年ものゲリラ戦にはまり込むだろう。
占領軍かキーウの傀儡政権は絶え間ない攻撃に見舞われる。「勝利」はロシアを長期的な惨事に閉じ込めることになる。
過去の防衛戦とはわけが違う
プーチンと盟友たちは引き続き、歴史から安心感を得ている。
ロシアはナポレオンとヒトラーの手によって悲惨な敗北を味わった――だが、最後には勝利を収めた。
だが、こうした戦争は防衛戦だった。退却する場所がないことが分かっているロシア人は最後の最後まで戦った。
今回は、祖国を守っているのはウクライナ人だ。