太陽の核融合によるエネルギーで我々地球上の生物は生活ができる

 核融合発電が現実のものとなりつつある。

 米エネルギー省は、2022年12月13日、ローレンス・リバモア国立研究所の国立点火施設(National Ignition Facility)が、レーザーを使った核融合実験で、燃料に投入した以上のエネルギーを生み出し、「純増」させることに世界で初めて成功したと発表した。

 同省のジェニファー・グランホルム長官は、二酸化炭素や高レベル放射性廃棄物を出さない「夢のエネルギー」として期待される核融合炉の実用化に向け、画期的な成果だとしている。

「核融合で発電を行う」というアイデア自体は、1950年代にすでに誕生しており、現在に至るまで世界中の国々が実用化に向けた研究を行ってきた。

 当時から「この研究は長期的な取り組みになる」と考えられていた通り、核融合発電はいまだに具体的な実用化には至っていない。

 核融合発電が難しいのは、ローソン条件と呼ばれる次の3つの条件を同時に達成しなければならないからである。

①プラズマ(注1)が摂氏約1億度以上の温度になること(温度)

②1立方センチの中に原子核の数が100兆個以上あること(密度)

③プラズマ閉じ込め時間が1秒以上あること(時間)

 また、核融合発電の実現は不可能であるという意見もある。

「実用的な核融合炉を作るには,何百万度もの高温に何年間も連続して耐えられる材料が必要になる。しかも、高エネルギーの核子(陽子と中性子)が常に衝突するので、通常の材料は脆くなるし放射能を帯びてしまう。さらに、一部の核融合燃料を複雑な増殖プロセスによって生産する必要もある(出典:日経サイエンス2010年6月号)。

 一方、エネルギー政策に精通したキヤノングローバル戦略研究所研究主幹の杉山大志氏は、「核融合はいまや夢物語などではなく、手の届く技術になった。設計、材料、制御などの主要な課題はすでに解決の見通しが立っている」と述べる。

(出典:JBpress「核融合は手の届くところにある、日本は大規模投資で技術開発を加速すべし核融合版の『アポロ計画』を主導し地球温暖化を一気に解決せよ」2022.8.13、https://jbpress.ismedia.jp/articles/-/71358

 フランスのSF作家ジュール・ヴェルヌが『月世界旅行』を発表したのは19世紀後半である。

 ジュール・ヴェルヌは「人間が想像できることは、人間が必ず実現できる」という名言を残している。それ以来、ヴェルヌの言葉どおり、人間は幾度も夢の技術を実現してきた。

 そして2023年となった今、技術の進歩とともにようやく核融合発電が現実のものとなりつつあると、筆者は考えている。

 また、核融合発電の実用化は数十年先との見通しもあるが、レーザー技術の進歩や民間ベンチャーの参入などにより実用化が早まる可能性もあると筆者は見ている。

 本稿は、核融合発電のしくみや歴史、実験成果などをとりまとめたものである。

 以下、初めに、核分裂と核融合のしくみについて述べ、次に、核融合発電の研究・開発の歴史について述べ、次に、核融合発電の方法について述べ、最後に、これまでの核融合発電実験の成果等について述べる。

(注1)物質は温度が上昇すると,物質は固体から液体に、液体から気体にと状態が変化する。

 気体の温度が上昇すると気体の分子は解離して原子になり、さらに温度が上昇すると原子核のまわりを回っていた電子が原子から離れて、陽イオンと電子に分かれる。

 このように陽イオンと電子に分かれて運動している状態がプラズマである。

 プラズマになれば、原子核は電子の屋根で守られていないので、原子核同士が衝突し、時には衝突と同時に合体する可能性が生まれる。

 したがって、核融合を起こすためにはプラズマであることが必要となる。