(英フィナンシャル・タイムズ紙 2022年12月21日付)

2022年が過ぎ去ることを悔やむ向きはほとんどいないだろう。
今年になって、邪悪な独裁者が平和な隣国に残忍な攻撃を始めた。世界的な生活費危機が生じ、我々はインフレの高進と実質所得の低下を目の当たりにした。
金利が上昇し、米ドル高が進み、多くの国が債務の難題に直面している。
国際通貨基金(IMF)によると、低所得国の60%は債務の返済がすでに困難か、これからそうなるリスクが高い。
市場では資産価格が下落し、ボラティリティー(変動性)が高まった。
米国と中国の関係解消と、この2つの超大国を軸とする対立する経済ブロックの形成へ向かう重要な動きが見られた(ロシアはしっかり中国側の陣営に入っている)。
温室効果ガスの排出を減少傾向にするために開かれた国連気候変動枠組み条約第27回締約国会議(COP27)は失敗に終わった。
新型コロナウイルス感染症のパンデミックについては、その悲惨な結果からの完全な回復すらまだ見られない。なかでも、世界で最も貧しい人々の状況は深刻だ。
さらに悪いことが起きるかもしれないが
これは悲惨だ。
しかし、これからもっと悪いことが、いや、格段に悪いことが起きるかもしれない。
特にウラジーミル・プーチンは何をしでかすか分からない存在だ。中国の新型コロナ対策で見られた通り、習近平も同様だ。
また、2023年に米共和党が連邦政府の債務上限引き上げに応じなかったら、果たして金融市場はどんな大混乱に陥るのだろうか。
さらに言うなら、欧州連合(EU)は金利が上昇しても、加盟国が景気後退に入っても、そして債務の返済に苦労する国家や企業が増えても、ウクライナに対する現在の路線を本当に維持できるのだろうか。
それでも悪いことばかりではない。
2022年には、闇のなかに光の筋も差し込んだ。新年に突入する前に、この光を祝っておこう。