12月15日、モスクワでビデオ会議に参加するプーチン大統領(写真:代表撮影/ロイター/アフロ)

(舛添 要一:国際政治学者)

 あと2週間で新しい年を迎えるというのに、ウクライナ戦争は終わる気配はない。それどころか、アメリカとの代理戦争の様相がますます色濃くなってきた。また、ロシアが敗北した場合にプーチン大統領がベネズエラに亡命するなどという報道まで出てきた。

 しかし、私たちが接する報道は主としてアメリカ・ウクライナ側のものであり、ロシアが情報操作をしているように、西側もまた同じような操作をしている。

 そこで、原点に戻ってこの8カ月の戦争を振り返り、今後の展開を考えてみたい。

守勢に回るロシア

 数日のうちにキーウを陥落させ、ゼレンスキー体制を崩壊させ、傀儡政権を樹立するというロシアの目論見は、見事に外れてしまった。それは、ロシアの諜報能力の低下を示すものであり、プーチンが就職先に選んだKGBを擁したソ連時代以下のレベルになったと言ってもよい。

 しかも、20年にわたるプーチン長期政権の下では、KGBの後継機関であるFSBも大統領が喜ぶような情報しか伝えなくなった。

 ウクライナのゼレンスキー政権も、昨年後半から国境地帯でロシア軍が演習を繰り返していたのに、侵攻を想定せずにノンビリ構えていた。NATO側から警告情報は届いていたはずである。この点もまた、ゼレンスキーのミスであろう。

 ロシア軍の侵攻は、ウクライナ側の抵抗と、アメリカをはじめとするNATO諸国の軍事支援によって、プーチンの予想した通りには進まなかった。とくにNATOの最新兵器はロシアの兵器を性能の点で凌駕しており、ロシア側に大きな損害を与えることになった。