(筆坂 秀世:元参議院議員、政治評論家)

責任を取らない志位委員長

 臨時国会が12月10日、閉会した。今度の国会では旧統一教会の被害者を救済するための新法が大きな議題となった。これまでなら日本共産党も含め野党共闘が実現していたが、今度の国会では立憲民主党と日本維新の会が共闘し、共産党はそこから外されてしまった。

 なぜこうなってしまったのか。その原因は、昨年(2021年)10月の総選挙にある。当時志位和夫委員長は、総選挙を「文字通り、日本の命運のかかった歴史的な選挙になる」と強調し、「新しい日本をつくる選挙、党の歴史で初めて、政権交代、新しい政権の実現に挑戦する選挙」だと位置付けていた。

 総選挙の直前には、立憲民主党の枝野幸男代表と共産党の志位委員長が「自民党と公明党の政権を倒した後の“新政権”」において協力することで合意した。その協力のあり方は共産党の「限定的な閣外からの協力」というものであった。もちろんこのような合意を両党が一致したのは初めてのことだった。共産党は欣喜雀躍(きんきじゃくやく)だった。

 当時の志位委員長ら共産党幹部の演説は、政権交代を大争点にし、「閣外協力で立憲民主党と合意した」ことを大宣伝するものであった。

 現に昨年10月19日、総選挙公示後の第一声で志位氏は、「国民の声を聞かない自民党と公明党の政権を続けるのか、それとも野党共闘の力で、国民の声が生きる新しい政権を作るのか。政権選択の歴史的な選挙である」と明言し、「政権交代のためには本気の野党共闘が必要だ。私たち共産党はそのためには3つ必要だと言ってきた。共通政策、政権協力、そして選挙協力だ。公示日までにこの3点セットがしっかりそろって、本気の共闘の態勢が作られたということをみなさんにご報告したい」と意気揚々と述べていた。