(英フィナンシャル・タイムズ紙 2022年12月7日付)

ウクライナは残忍な敵の猛攻撃をくぐり抜けてきた。ロシア軍に恥をかかせ、奪われた領土をかなり取り戻した。こうした戦績はものすごい成果だ。
だが、戦争はまだ終わっていない。
10月10日、ロシアが民生用のインフラの破壊に乗り出し、戦争は新たな局面に入った。
ロシアの狙いは今、ウクライナ国民の戦意をくじくことにある。この企みも失敗に終わらせなければならない。
腐敗の懸念を払拭したウクライナ
第2次世界大戦後の欧州における生活の原則が危険にさらされている。力による国境変更は認められず、市民が自分たちの統治者を選ぶことを妨げられてはならないという原則だ。
加えて、もしロシアが勝つことになれば、失地回復論者の暴君の支配下にある土地が欧州東部と境界を接することになる。
だが、もしウクライナが勝ったら、ロシアに対する強力な防波堤になる。
つまり、この戦争はウクライナだけでなく欧州にとっても存在にかかわる戦争だということだ。
西側はウクライナが生き延びることを、そして豊かな民主主義国として繁栄することを確実にしなければならない。
これは道義的に必要なだけでなく、西側の利益にもかなうことだ。
ウクライナについては、汚職や腐敗の横行が長年懸念されてきた。だが、ウクライナ政府がこの戦いのために動員をかけた様子からは、もはやそういう国ではないことがうかがえる。
腐敗したオリガルヒ(新興財閥)が跋扈する国家は、この国のように団結して戦うことはない。
ウクライナは、疑わしきは罰せずの原則を適用するに値する。同国は戦争で作り直された。平和のうちにも作り直されるのは間違いないだろう。