ジャパンラグビー リーグワンの静岡ブルーレヴズと東京サントリーサンゴリアスの試合より(資料写真、2022年4月17日、写真:アフロスポーツ)

(竹林 徹:ライター/メディアディレクター)

 華々しい現役生活を送っていても、引退後、働き口が見つからず第二の人生で躓(つまず)くアスリートは少なくない。社会課題となりつつある“アスリートのセカンドキャリア”について考えるフォーラム「SFC 地域イノベーション共同研究『人材価値の社会への還元(アスリートの場合)』」が、11月20日、慶應義塾大学湘南藤沢キャンパスで開催された。パネルディスカッションでは、大学教授、企業経営者、ラグビー「リーグワン」2チーム(静岡ブルーレヴズ、横浜キヤノンイーグルス)のトップらが、それぞれの立場から意見を交換。アスリートが第二の人生を切り開くための課題とヒントが見えてきた。

アスリートは「非認知能力」を鍛えている

 パネルディスカッションで口火を切ったのは、山形大学学術研究院産学連携教授の岩本隆氏。「日本のスポーツ競技は地域密着が主流。地域イノベーションとタイアップしながら、アスリートのセカンドキャリア支援の裾野を広げられないか」と問題提起した。

 岩本氏は続いてアスリートの「非認知能力」の高さを示唆。非認知能力とは、学力テストの結果などでは測れない数値化しにくい能力のこと。経営コンサルティング会社、リンクアンドモチベーションのフレームを参考にすると、対人力、ポータブルスキル(どんな環境でも活かすことができるスキル)、課題に対する姿勢、などがそれに当たる。一方、認知能力は学力、テクニカルスキル、特定の分野の知識や能力などが相当する。

 岩本氏は、「アスリートは非認知能力をすごく鍛えている。加えて後から認知能力を伸ばせば社会でもっと活躍できるのではないか」と訴えた。

競技経験を因子分解して、選手に「気づかせる」

 そうしたアスリートの強みを社会で活用する手法を、フレームワークに沿って説明したのは、静岡ブルーレヴズ代表取締役社長の山谷拓志氏である。