韓国を訪問したサウジアラビアのムハンマド皇太子(左)。右は韓国の尹錫悦大統領(11月17日、提供:South Korean Presidential Office/AP/アフロ)

 昼食の約束場所に向かうためソウル中心部のロッテホテル前を通りかかったら人だかりがあった。

 のぞいてみたらホテル入り口に囲いがあり、周辺には完全防備の警官や警備員だらけ。テレビの中継もしていた。サウジアラビア皇太子の宿泊先だったのだ。

 サウジのムハンマド・ビン・サルマン皇太子は2022年11月17日午前零時半に韓国に入国した。20時半に出国したため滞在はわずか20時間だった。

厳重警戒、大々的な報道

 大歓待を受け、多くの話題を残して嵐のように去って行った。

「米国の大統領が来る時よりも扱いは大きいかもしれない」

 韓国紙デスクがこう話すほど韓国メディアの報道はすごかった。訪韓前からトップで報じる新聞もあった。

 訪韓当日や翌日は、20時間の滞在中のニュースを詳細かつ大々的に報じた。なぜこれほどまでに関心があったのか。

 ムハンマド皇太子は、両国の国交樹立60周年に合わせて公式訪問した。それだけでは大歓待とはいかないはずだ。

 圧倒的な関心は、サウジが皇太子主導で進める未来都市、「ネオムシティー」の開発プロジェクトだった。