(英フィナンシャル・タイムズ紙 2022年11月18日付)

暗号資産の企業のいくつかはウクライナを支援していた

 サム・バンクマン・フリード氏の「FTX帝国」が今月破綻したことは、ほかの暗号資産(仮想通貨)企業に明らかに打撃をもたらした。

 だが、それに比べれば目立たないものの、影響を受けたグループがほかにもある。ウクライナと関係のある科学技術者のネットワークもその一つだ。

 フィランソロピー基金の「FTX未来ファンド」は最近、ウクライナのために革新的な軍事装備品を開発する起業家を陰ながら支援していた。

 その起業家たちが筆者に打ち明けたところによれば、FTXの破綻は「非常に痛い」ショックであり、今は新たな支援者探しに奔走している。

戦場で花開く草の根イノベーション

 支援者が見つかることを祈りたい。だが、今回の危機ではもっと大きなことが浮かび上がっている。

 始まって9カ月経つウクライナでの戦争は、投資家や政策立案者が注目すべき非オーソドックスな草の根イノベーションが芽生えるきっかけになっているのだ。

 なかでも際立つのは、ウクライナの大義に共感する才能豊かな技術者のグローバルネットワークが誕生したことだ。

 それは戦争前にウクライナが非常に多くのIT(情報技術)サービスを世界各地の企業に提供していたためでもあった。

 ウクライナがこのネットワークを利用して戦場でテスト、あるいは「ハック」できるアイデアを手に入れようとするなかで、米マイクロソフトのブラッド・スミス社長が先日指摘したように、「並外れたイノベーション」がいくつか生まれている。

 また、この現象は戦争のビジネスの一部要素を静かに作り変えてもいる。

 20世紀の米国では、軍事技術のブレークスルーはロッキード・マーチンやレイセオンといった巨大企業か、国防高等研究計画局(DARPA)のような政府系機関によってなされることが多かった。

 全地球測位システム(GPS)やドローンといったイノベーションはDARPAの手によるものであり、やがて民生技術に取り込まれた。