中間選挙のわずか1週間後に次期大統領選への出馬表明をしたトランプ氏(写真:USA TODAY Network/アフロ)

トランプ前大統領が、次期大統領選に再選を目指して立候補することを表明した。米中間選挙は事前予想より民主党が善戦する結果に終わり、焦点は本格的に2024年へと向かい始めた。今、どんな展望が描かれているのか。米政治に詳しい双日総合研究所チーフエコノミストの吉崎達彦氏が2回に分けて解説する。前編となる今回は、中間選挙の予想が外れた要因と、思ったように議席を伸ばせなかった共和党およびトランプ氏の微妙な関係について聞く。(聞き手:河合達郎、フリーライター

やはり問われた共和党の「候補者の質」

——事前予想に比べ、バイデン民主党が踏ん張った中間選挙になりました。結果をどう見ましたか。

吉崎達彦氏(以下、吉崎氏):意表を突かれましたね。長年アメリカ政治を見ていますが、これだけ意表を突かれた選挙も珍しいです。本当におもしろい選挙でした。

 じゃあ世論調査に騙されたのかというと、そうとも限りません。世論調査で細かい日々のデータを見ていくと、10月中旬からは明らかに共和党に追い風が吹いていました。

双日総合研究所チーフエコノミストの吉崎達彦氏

——それがなぜ選挙結果に反映されなかったのでしょう。

吉崎氏:十分に読み切れなかったポイントがあったと見て、3つの仮説を考えています。

 1つは、事前から言われていた共和党候補者の質の問題です。決選投票になったジョージア州のハーシェル・ウォーカー氏が象徴的ですが、(交際女性に人工妊娠中絶を行うよう求めて費用を支払っていたとするなどの)スキャンダルが報じられ、「こりゃ、明らかに上院議員にしちゃダメだろ」と言われる候補者までいました。