トヨタ初の本格量産のEV「bZ4X」。今年5月から提供されたが6月にはリコールの届け出がなされた(写真:ロイター/アフロ)

 トヨタの戦略転換に関するニュースが自動車業界を駆け巡っています。

 ロイターは2022年10月24日、トヨタが電気自動車(EV)戦略の大幅な見直しを検討していることを報じました。加えて、基幹車種『クラウン』などをEVにする開発計画を一時停止しているという情報も出ています。トヨタの戦略転換には車の土台になるプラットフォーム(車台)の見直しを含んでいて、昨年12月に発表した、2030年までにEV30車種を揃えるという計画の一部はすでに止めているとしています。

ロイターの衝撃報道を否定しないトヨタ

 計画見直しの中心は、トヨタとスバルで共同開発した「e-TNGA(TNGA:TOYOTA NEW GLOBAL ARCHITECTURE)」というEV専用のプラットフォームです。

 「e-TNGA」の発表は2019年ですが、市販車に採用されたのは2022年5月発売の『bZ4X』が初めてでした。トヨタは「e-TNGA」を使ってEVを開発し、2030年までに世界で年間350万台を販売する目標を掲げています。

 しかしロイターによれば、トヨタは「e-TNGA」では採算が合わなくなると判断したようです。「e-TNGA」はガソリン車やハイブリッド車と同じ生産ラインで製造できるように作られていますが、市場が拡大する中で各社のコストダウンが進めば競争できなくなるという危機感が生まれたようです。

 これが事実なら、トヨタは今後、EVの設計を根本から見直すことになりそうです。

 この記事についてトヨタに確認したところ、以下のコメントが返ってきました。

「カーボンニュートラルの実現には、自社における技術開発にだけでなく、自動車産業をはじめ、様々なパートナーやサプライヤーの皆さまとの協力が必要不可欠です。日頃から様々なステークホルダーの皆様とも様々なテーマで積極的な議論や取り組みを行っておりますが、個別の開発事案の詳細については、公表させて頂いている以上の内容はご容赦願います」

 記事の内容を否定するコメントではないことから、ロイターの伝える内容の信憑性は高いと思われます。