米国がウクライナに供与、戦果を挙げている155ミリ榴弾砲(6月23日、米陸軍のサイトより)

 北朝鮮軍の今回の演習を分析してみた。

 結果、これは米韓航空作戦に対する短距離弾道ミサイルによる奇襲攻撃作戦だった。

 現在の北朝鮮の軍事力からすれば、作戦は当初から空軍基地に駐機する戦闘機を何度も何度も叩く戦略なのだ。

 これが、北朝鮮軍の勝ち目となる。

米韓航空作戦に対抗する独自の軍事戦略

 10月31日から11月5日の間、韓国で行われた米韓合同空軍演習「ビジラント・ストーム」に、北朝鮮は激しく反発した。

 米韓空軍による北朝鮮への攻撃に対して、北朝鮮軍は勝利する戦略を組み立てて、これを想定した演習を実施したといえる。

 北朝鮮は、ウクライナでのロシア軍の戦いを見てきた。

 ロシア軍の兵器は、ウクライナに供与された精密誘導兵器で無惨にも破壊されている。ロシア軍が不利になりつつあるのもそのせいだ。

 北朝鮮軍の兵器は、ロシア軍より旧式のものが多い。

 戦車・装甲車・火砲・戦闘機・軍艦もない。当然、長射程精密誘導ロケットと砲弾、高性能の自爆型無人機もない。

 北朝鮮の衝撃は相当なものであったろう。

 しかし、北朝鮮軍は、それらの弱点を強点に変えようと、努力している。

 それは、GPS誘導の各種短距離弾道ミサイル、巡航ミサイル、大型の多連装ロケット砲だ。

 あらゆる方法で短距離弾道ミサイルを発射している。弾道ミサイル防衛システムで撃墜されにくい極超音速滑空体など飛翔軌道を変えるミサイルも開発を急いでいるのだ。

 これらのミサイルなどは、米韓軍戦闘機が基地に駐機している間に破壊しようとするものだ。

 北朝鮮軍総参謀部が発表した「ビジラント・ストームに対応して行った北朝鮮軍の軍事作戦」の内容をもとに、以下のそれぞれの項目(要約)について考察する。