米海軍の新型空母「ジェラルド・R・フォード」の艦上訓練の様子(資料写真、2022年10月6日、写真:AP/アフロ)

(北村 淳:軍事社会学者)

 アメリカでは、バイデン大統領をはじめバイデン政権の安全保障担当者たち、そして政権との関係が深い軍首脳などから、中国が台湾侵攻に踏み切った場合には、民主主義を守り抜くために、あたかもアメリカが中国と対決してまでも台湾を支援するかのごとき威勢の良い姿勢が表明されている。

 その背景には米連邦議会中間選挙が差し迫っていることもあるが、中国軍の状況に精通し、かつアメリカ自身の戦力も冷静に把握している米軍やシンクタンクの対中戦略家などからは、バイデン政権関係者の発言は、米中両軍の戦闘能力を正しく見定めておらず、具体的な対策も打ち出していない無責任極まりない発言である、との批判が高まっている。

敵戦力との比較において米軍は「弱体」

 この種の批判の論拠の1つとして、先日公開された民間シンクタンクの報告書がある。

 アメリカの安全保障政策に極めて強い影響力を行使している保守系シンクタンク「ヘリテージ財団」が毎年発行している報告書「2023 Index of U.S. Military Strength」(「米軍戦力の2023年度における指標」、以下「ヘリテージ報告書」)において、初めて米軍全体の戦力が「弱体」であるという評価が下された。

 ヘリテージ報告書では海軍、陸軍、空軍、海兵隊、宇宙軍(2019年末に創設された米宇宙軍に対しては2022年度版から評価が始まった)、核戦力、そして米軍全体の戦力についてそれぞれ5段階(*)の評価を下している。

(*)「極めて強力 > 強力 > 最低限維持(勝利を期待できる最低限度の戦力を維持) > 弱体 > 極めて弱体」の5段階