(英フィナンシャル・タイムズ紙 2022年10月20日付)

中国共産党書記長に3選された習近平氏と新たな顔ぶれの政治局常務委員(10月23日、写真:ロイター/アフロ)

 超大国が大国に宣戦布告し、誰も気づかなかったと想像してみてほしい。

 ジョー・バイデンは今月、中国に対して全面的な経済戦争を仕掛け、米国として中国の台頭を止めることに事実上コミットしたにもかかわらず、大部分において米国人は反応しなかった。

 確かに、ウクライナに対するロシアの戦争と米国内のインフレが人々の関心を奪っている。だが、歴史は恐らく今回のバイデンの動きを、米中ライバル関係が表面化した瞬間として記録するだろう。

 米国は今、中国の台頭を食い止めるために、実際の戦争を戦う以外のことをすべてやると誓ったのだ。

企業の成長モデルの基盤が瓦解

 米国株式会社や外国企業がこれから何に襲われるか、その意味合いを完全に消化したかどうか定かでない。

 過去数十年間というもの、真剣な企業は、それが対中輸出であれ、中国での生産であれ、その両方であれ、中国戦略を持つことを自社の成長モデルの基盤としてきた。

 企業の商品が例えば高級品や農産物でない限り、バイデンの技術的デカップリング(分離)は企業収益に打撃を与える。

 今回のエスカレーションは、中国の世界への統合が大国としての同国台頭を穏便なものにすると想定した数十年来の米国外交政策との完全な決別も告げる。

 中国封じ込めに転じた米国の宗旨替えは超党派としての流れだ。

 ドナルド・トランプが中国の通信複合企業である華為技術(ファーウェイ)と中興通訊(ZTE)を標的にし、管理貿易を目指したことと、トランプの後を継いだ民主党の米大統領が中国のハイテク業界全体を孤立させることでは、話が違う。

 ただ米中のデカップリングに反対する声が民主、共和両党の有力者から上がらないことは注目に値する。

 米ワシントンの中国政治は今や、どちらの党が相手側よりも右へ行けるかという争いになっている。