共に民主党代表の李在明氏(写真:Lee Jae-Won/アフロ)

(武藤 正敏:元在韓国特命全権大使)

 北朝鮮は9月25日から28日、29日、さらに10月1日、4日、6日、9日と、15日の間に弾道ミサイルを実に7回も発射した。

 特に、4日発射した中距離弾道ミサイル(以下“IRBM”)は日本の上空を通過、最高高度1000kmで4600km飛行、日本にJアラートを発出させ、北朝鮮のミサイルとして最長の距離を飛んだ。これは米国のグアムを射程に入れるものである。

 今後、大陸間弾道ミサイル(ICBM)を通常軌道で初めて発射したり、核実験を行ったりする可能性が高まっている。

日米韓の防衛協力体制強化に異を唱える野党代表

 当然ながら韓国では安全保障上の危機感が急上昇した。尹錫悦大統領は米韓、さらには日米韓の連携・協力を強化して対応する方針である。

 実際、9月30日には日米韓の共同訓練が日本海で行われた。さらにその後、北朝鮮がミサイル発射を行うと、日本海の公海上から去っていた米海軍の空母「ロナルド・レーガン」が再び朝鮮半島周辺海域に引き返すという事態も起こった。

 大統領室の国家安保室(NSC)は、「これまで韓米合同演習・訓練で見せた韓米連合防衛能力が、今回の北朝鮮の弾道ミサイルに対する即刻探知・追跡で改めて立証されたことを確認し、韓米連合防衛態勢及び韓日米安保協力をさらに強化することとした」と説明している。

 ところがこの方針に猛然と噛みついたのが李在明代表を中心とする韓国の最大野党「共に民主党」(以下“民主党”)である。特に彼らが矛先を向けているのが、日本との連携・協力について、である。