自由かつ効率的に仕事をしているシリコンバレーのビジネスマン(写真はイメージ)

(太田 肇:同志社大学政策学部教授)

「どんな仕事で何を達成するか」が最大の関心事

 仕事が先か、制度が先か──それがシリコンバレーと日本の決定的な違いだ。

 コロナ禍が落ち着くのを見計らって先月、筆者は4年ぶりに米国のシリコンバレーを訪ね、現地の働き方を取材した。そこで強く印象づけられたのが冒頭のコントラストである。

 マスク姿が消え、すっかり元の社会、元の生活に戻った現地では、シリコンバレー流の働き方も健在だった。それどころか進化したITの後押しを受け、日本との違いが一層鮮明になっていた。その違いに注目することで、わが国の働き方改革の方向性を改めて考え直すヒントが得られるのではないか。

 わが国では近年、新しい働き方が次々に登場し、注目を集めている。テレワーク、副業容認、選択的週休3日、70歳定年、男性育児休業、転勤の廃止・・・等々である。いずれにしても話題になるのは「制度」ばかりであり、制度に合わせて働くのが暗黙の前提になっている。はじめに制度ありきなのだ。

 いっぽう、シリコンバレーでは企業も人も、「どんな仕事をするか」「何を達成するか」ということこそが最大の関心事であり、それに合わせて働き方を決めればよいという発想である。したがって仕事の効率性や快適さを妨げる無用な制度がない。具体的に見ていこう。