プーチンがぶち壊したロシアを建て直せるとしたらこの人しかいない? 今年7月15日にインドネシアのバリ島で開催されたG20 財務相・中央銀行総裁会議に出席したロシアのE.ナビウリーナ総裁(左、写真:代表撮影/ロイター/アフロ)

プロローグ
プーチン「終わりの終わり」の始まり

 1発の凶弾から第1次世界大戦が始まり、1人の狂人から第2次世界大戦が始まり、1人の独裁者から世界は第3次世界大戦の奈落の底に落ち込もうとしています。

 今、そこにある危機。それは「第2次キューバ危機」とも言えましょうか。

 ロシア(露)のV.プーチン大統領(69歳)にとり、2022年2月24日に始まるロシア軍のウクライナ侵攻作戦は誤算続きとなり、プーチン大統領は暴走しています。

 侵攻開始数日後にはウクライナの首都キーウ(ロシア名キエフ)を制圧して、親露派傀儡政権を樹立する構想でしたが、戦況は悪化の一途。

 ついに、9月21日には部分的予備役動員発令を余儀なくされました。

 2月24日のロシア軍ウクライナ侵攻により、プーチン終わりの始まりが始まりました。

 9月21日の部分的予備役動員令によりプーチン終わりの始まりが終わり、9月30日のウクライナ東部4州ロシア併合宣言によりプーチン終わりの終わりが始まりました。

 プーチン終わりの終わりが終わる頃は、世界の終わりになっているのかもしれません。

液状化する旧ソ連邦諸国

 ヒトラーはズデーデンを併合し、プーチンはウクライナ東南部4州を併合しました。

「パンドラの箱」が開き、中央アジア諸国のロシア離れが加速。中国とインドでもロシア離れが始まり、世界は液状化してきました。

 プーチン大統領の愛読書は「戦争と平和」と本人は言っておりますが、当方推測では、彼は「戦争と平和」を(全文は)読んでいないと思います。

 この本はナポレオン戦争の悲惨さを描いており、戦争を賛美しているのではありません。

 彼の愛読書はきっと、「Mein Kampf」(「我が闘争」)でしょうね。

 プーチンの戦争の実態が漏れるようになり、ロシア国民の間でも不安・動揺が表面化。ロシア人の国外大脱走も始まりました。

 戦費問題も深刻化。ロシア財政は大幅赤字となり、石油・ガス増税案が発表されました。

 あらゆる状況はロシア側に不利に展開している一方、プーチン大統領はますます暴走しています。

 ロシア軍が今年2月24日にウクライナ全面侵攻開始後、9月23日で丸7か月となりました。この原稿を書いている10月2日は221日目となり、プーチンの≪特別軍事作戦≫は既に8か月目に入っています。

 戦況悪化により、プーチン大統領の支持率は右肩下がり。

 9月21日の部分的予備役動員令により、従来他人事と考えていたロシア国民の間でも不安・動揺が表面化。ロシア国内が液状化してきた感じです。

 ロシア軍はウクライナ戦線における兵力不足により、中央アジアやコーカサスから兵力をウクライナに転用。

 その結果、ロシア軍駐留地域に力の空白が生まれ、地域間紛争が再燃。

 アゼルバイジャンとアルメニア間の国境紛争が再燃したかと思えば、次はキルギスとタジキスタン間の国境未画定地帯でも戦端が開かれ、戦闘激化。

 既に、中国の習近平主席もインドのモディ首相もトルコのエルドアン大統領も、プーチン大統領とは距離を置き始めました。

 カザフスタンの首都名はアスタナから前大統領の名前ヌルスルタンに名称変更しましたが、2022年9月にはまた元のアスタナに戻りました。

 換言すれば、カザフスタンのトカエフ大統領はヌルスルタン・ナザルバエフ前大統領との決別を天下に宣言したと言えましょう。

 隣国ベラルーシの盟友ルカシェンコ大統領からも、早晩引導を渡されることになるかもしれません。

 筆者は来年プーチン失脚の可能性大と予測しておりましたが、来年までもつかどうかも怪しくなってきました。恐らく、今年中の失脚もあり得ると推測します。