かつての「犬猿の仲」だったロシアと中国(写真:代表撮影/ロイター/アフロ)

中ロは蜜月ぶりを装う「仮面夫婦」のようなもの

 ウクライナ戦争は開戦から7カ月が過ぎてロシア侵略軍の苦戦・潰走が伝えられるが、ロシア最大の友好国・中国は、世界的孤立と国力低下に陥るパートナーの状況を、「失地回復」と「半植民地化」を達成する千載一遇のチャンスと捉えているのではないかと分析する国際専門家は少なくない。

 ウクライナの併呑を夢想するロシア・プーチン大統領は、2014年のクリミア半島併合を手始めに、ウクライナ本土東部のドンバス地方で親ロシア派を焚きつけて武装闘争を起こし、彼らの支配地区を分離独立させた後に住民投票を実施。圧倒的支持に応える形でロシア本土に統合するという醜いシナリオを描く。

 また、これと連動させて2022年2月に大軍でウクライナを侵略。数日で首都キーウを攻略できると高を括ったが、結果は周知のとおり。プーチンの「偉大なるロシア帝国よもう一度」の夢物語は露と消えそうで、それどころか逆にウクライナ軍の大反攻で侵略軍は広大な占領地を放棄して敗走するありさまだ。

 四苦八苦するロシアにとって最強の味方は中国だが、実は歴史的に見ても心の底から信頼し合っているとは思えない。現在は「反米・反民主主義」で利害が一致しているため共同戦線を張って蜜月ぶりを装っているに過ぎない、との見方は少なくない。要するに両国は「仮面夫婦」のようなものだという。

 国境を接する隣国同士が不仲なのは、ある意味古今東西の常識だが、中ロはお互い数千kmの国境で隣り合うユーラシア大陸の覇権国家で、今でこそ親密さを強調し合うものの、実は両国の間には「広大な領土を奪い、奪われた」という“消しがたい”黒歴史が横たわる。

 もちろん奪った側のロシアはあまりこのことに触れてほしくない様子だが、奪われた中国側は時々メディアを通じてこの話題を間接的に発信している。そしてとりあえずはロシアとの仲の良さを演じるものの、「将来は必ず奪還」とその機会を虎視眈々と狙っているのではないか、とも言われている。