(英フィナンシャル・タイムズ紙 2022年9月10・11日付)

安置所から運ばれるエリザベス女王の棺(9月13日エジンバラで、写真:代表撮影/ロイター/アフロ)

 女王エリザベス2世の死去は、英国外へも遠く響き渡る出来事だった。

 米国では、女王の葬儀まで、政府ビルのすべての旗が半旗にされる。欧州連合(EU)も公的機関で半旗を掲げた。

 遠く離れたブラジルでさえ、女王の死に応じ、国家として3日間喪に服すことを宣言した。

 数日前には、英国のリズ・トラス新首相はフランスのエマニュエル・マクロン大統領が友人なのか敵なのか分からなかった。

 だが、マクロン氏は女王の死去を受けて心からの弔意を表し、エリザベス女王は英国とフランスの「温かく、誠実で、忠実なパートナーシップ」を体現したと語った。

 諸外国からあふれ出るこの哀悼の意は、政治を超越して国際的な緊張を和らげるうえで女王が収めた成功のしるしだ。

 政府間、国家間の関係には浮き沈みがある。

 女王への敬意と愛着を表明することで、世界中の国々が英国との絆の永続的な性質を示すことができた。

 ロシアのウラジーミル・プーチン大統領でさえ新国王チャールズ3世に公開書簡を送り、ロシアの「深い哀悼の意」を表明した。

世界にアピールする普遍的な価値観

 政治と無関係な人物としての君主の地位は、女王の国際的な影響力とステータスにとって極めて重要だった。

 だが、エリザベス2世の個人的な資質も決定的に重要だった。

 女王は義務、尊厳、奉仕が空虚な言葉ではないことを身をもって示した。

 死去するわずか2日前、新政権を発足させるためにトラス首相を招き、公務にあたる姿が撮影されている。