ワシントンD.C.で開催されたASEAN首脳会議に出席したウェンディ・シャーマン国務副長官(左)(5月13日、写真:UPI/アフロ)

我々は過去とは異なる争いの最中にいる

 6月16日、南太平洋の島国ソロモン諸島の首都ホニアラで、第2次世界大戦中に旧日本軍と米軍が戦った「ガダルカナルの戦い」から80年の慰霊式典が行われた。

 この式典に出席していた米国務省の懐方、ウェンディ・シャーマン副長官*1は、こう言い放った。

「80年前、米国と同盟国の若者たちはそれまでどこにあるかも知らなかったこの島で旧日本軍と戦い、1600人が戦死、4000人以上が負傷した」

「旧日本軍兵士2万4000人が戦死した。どのくらいのソロモン住民が戦闘に巻き込まれて死んだかはいまだに分かっていない」

「かつて敵だった米国と日本は今や平和のパートナーとなり、この島に学校、病院を作り、パンデミック、自然災害、気象変動に対応する活動で共同活動を続けている」

「私の父はガダルカナルの戦いで戦った。負傷したが九死に一生を得て帰国した。戦闘については一切喋らなかった」

「だが、その戦争体験は人間としての彼自身を形成している。その父の娘が今この島に帰ってきた」

「今日、われわれはまたしても80年前とは異なる種類の争いの最中にいる」

「罰せられることなく強要や圧力、暴力を行使しうる手段と信じるある一部の国の指導者たちが、戦争の代償を忘れ過去の教訓を無視している」

「米政府は、この地域との関係再建に動いており、絶対的に重要な太平洋諸国との関係強化を切望している」

https://www.state.gov/deputy-secretary-shermans-remarks-on-the-80th-anniversary-of-the-battle-of-guadalcanal/

https://www.state.gov/deputy-secretary-sherman-at-a-press-availability/

*1=ヒラリー・クリントン氏、ジョン・ケリー氏といった歴代国務長官の副長官、国務次官を務め、朝鮮・イラン非核交渉を担当するなど民主党政権の外交の切り札的存在。