目標の位置を正確に測定し味方に連絡する米陸軍の兵士(7月21日フィンランドでの演習、米陸軍のサイトより)

 ウクライナ地上軍は、8月下旬から南部地域で反攻している。その進度は速くはないものの継続している。

 ウクライナ軍の戦闘を左右するのは、精密誘導長射程砲弾である。その砲弾の目標となる情報を提供するのに電子戦が大きな役割を果たしている。

 電子戦は、これまで旧ソ連軍が最強であるとされていた。

 今回の侵攻では、その優越が認められない。今回は、見えない戦争の一つであるロシア軍のウクライナにおける「電子戦(Electronic Warfare, EW)」について、考察する。

 電子戦を地域的な範囲で区分すると、国家戦略レベルと作戦戦闘レベル(戦場での電子戦)とになる。

 今回は、ウクライナで戦われている作戦戦闘レベルのものを主体に記述する。

 ウクライナの戦場の電子戦では主に、

①通信の傍受・標定・妨害とこれに連携する攻撃

②レーダーの電子情報収集とこれに連携するミサイル攻撃

③GPS妨害による敵兵器の無能化が行われている。

 今回は、①について、分析し解説する。

(1)地上戦闘の成否に影響を与える電子戦の3方法

(2)戦闘地域での電子戦の攻撃に弱い通信・強い通信

(3)地上戦におけるロシア軍電子戦部隊の能力

(4)ウクライナ軍は、ロシアとは異なる通信機に更新していたか?

(5)ウクライナ軍は、戦闘場面の電子戦では優勢なのか、についてである。

 電子戦は、ウクライナでの戦いの一部であるので、戦い全般での位置づけを知りたい場合は、筆者のJBpressの過去の記事およびウクライナ戦争から見えてきた国防の問題を指摘した『こんな自衛隊では日本は守れない』(ビジネス社2022年8月1日)を、参照してほしい。