育成に定評のあるドイツには多くの指導者が、学びに行く。そのドイツでリーグ10連覇を達成している名門がバイエルンだが……(写真:アフロ)

 岡崎慎司が毎週配信する「dialoguew/(ダイアログウィズ)」。ヨーロッパでのプレーも13シーズン目を迎え、その中で感じた「日本と世界の距離」を埋めるヒントを、サッカー界や、それ以外の分野のトップランナーと語り合うことで見出す。

 その第4回は、昨年Jリーグチェアマンを退任した村井満が登場し、「リーダーに聞く~日本サッカーからエリートは生まれるのか?」をテーマに語り合った。

 ドイツ、イングランド、スペインを渡り歩き、世界のスタンダードを深く知る岡崎と、チェアマンとして8年間勤め、国内の育成事情に精通し、さまざまな取り組みをオーガナイズしてきた村井。

 二人の日本サッカーのトップランナーが、日本の育成について熱く意見を交わす中で、後編で岡崎が語った世界で戦う上で「Japan’s Way」に対してたどり着いた1つの答え。

海外のクラブは「日本人の使い方」をわかっていない

 3カ国を渡り歩いた岡崎は(対談時)「その国のアイデンティティが国の(サッカー)スタイルに強く影響し、その上で各クラブの色がある」ことを痛感したという。

 そして「日本も強豪国のように独自のアイデンティティをベースに、確固としたスタイルがもっと必要だ」と。

 村井はその中で、「JFAは(それを)Japan’s Wayと言っている。コレクティブで、献身的で、労を惜しまないとか」と日本人の持つ勤勉さが世界で戦う上で武器になると語った。

 多くの日本人も村井の見解に異論はなく、武器の1つになりうると感じているはずだ。

 しかし――。

 世界で戦ってきた岡崎は、その「Japan’s Way」に対して1つの「確信」を得た、と語る。

「そこの部分で僕がたどり着いたのは、献身性が海外では認められないという感覚です。日本はそこを見てくれるけど、“見られていなかったら”結局、意味がない能力になってしまう。

 これは僕の持論なんですけど、海外のクラブに日本人を一人置けば、絶対にそのチームは今よりも順位が上にいくと思います。でも極論すると海外の人はその価値、使い方をわかっていないんです」