台湾海峡を通過した米海軍第7艦隊のミサイル巡洋艦アンティータム(提供:U.S. Navy/ロイター/アフロ)

(古森 義久:産経新聞ワシントン駐在客員特派員、麗澤大学特別教授)

 米海軍のミサイル巡洋艦2隻が8月28日、中国の反対を無視して台湾海峡を航行した。ナンシー・ペロシ米下院議長が台湾を訪れたことに中国側が反発し大規模な軍事演習を実施してから初めての米艦艇の同海峡の航行である。

 中国側は台湾海峡全体を中国の海と同様の扱いをしており、今回の動きで台湾をめぐる米中対立はまた一段と緊迫を強めている。

中国の威嚇に引き下がらない米国

 ペロシ議長の台湾訪問の後、米国議会からは他の議員団がすでに2組も台湾を訪問している。その訪問議員団のなかには台湾をあえて「国」と呼ぶ議員もおり、中国側の米国や台湾に対する威迫的な言動にさらに強く反発する姿勢を強めてきた。

 米軍インド太平洋統合軍指揮下の太平洋艦隊第7艦隊司令部は8月29日、第7艦隊所属のミサイル巡洋艦チャンセラーズビルとアンティータムが同28日、台湾海峡の公海部分を航行したと発表した。同発表によると、この2隻のミサイル巡洋艦は、台湾海峡の中国、台湾双方の領海、接続水域以外の公海に等しい国際水域を航行したという。