米国がウクライナに供与しているHIMARSは絶大な効果を上げている(写真は沖縄での訓練、2021年10月6日撮影、米海兵隊のサイトより)

1.侵攻から半年間、両軍の戦い方の変化

 ロシア軍がウクライナに侵攻して、約6か月が過ぎた。

 この間の両軍の戦いを概観すると、侵攻当初は主に戦車・装甲車と対戦車兵器の戦い、これらを支援する砲・戦闘機などによる攻撃が行われた。

 その後、次第に戦車・装甲車・戦闘機の損失が大きくなり、これらに代わって対砲兵戦と無人機による攻撃が増してきた。

両軍の近接戦闘(イメージ)

出典:筆者作成

ロシア軍による近接戦闘部隊を支援する火砲と戦闘機(イメージ)

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ウクライナ軍による対砲兵戦(イメージ)

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 つまり、侵攻当初は敵を目視で確認しつつ射撃する最前線での戦い(近接戦闘)、次に、最前線から10キロ以上も離れたところから射撃する砲兵戦の戦い、さらに現段階では、その砲を攻撃する対砲兵戦が増加しているということである。

 対砲兵戦には、長射程で精密誘導の砲弾や多連装ロケット、自爆型無人機が多用されている。

 対砲兵戦に優れるウクライナが勝ち目を見出しているようだ。とはいえ、その数は少なく、大きな戦果を得るまでは至っていない。

 戦闘機や攻撃ヘリコプターは、侵攻当初では活躍が目覚ましかった。ウォロディミル・ゼレンスキー大統領は当時、欧米に「戦闘機が必要だ」と要求していた。

 だが、現在、戦闘機などが防空兵器により撃墜されたためか、その出撃は頻繁には行われていない。