(英フィナンシャル・タイムズ紙 2022年8月19日付)

イタリアのジョルジャ・メローニ氏(8月23日撮影、写真:AP/アフロ)

 欧州の極右が、笑みを浮かべる新しい「顔」を持った。

 ジョルジャ・メローニ氏がイタリアで、ベニート・ムッソリーニが1943年に政権を追われて以来初の極右指導者になろうとしているのだ。

総選挙では右派連合が圧倒的に優位

 メローニ氏の率いる極右政党「イタリアの同胞」は、1945年以降に誕生した、ファシズムの流れをくむ極右政治にルーツを持つ。

 その同胞が9月25日の総選挙で議会第一党に躍り出る見通しになった。

 テレビ局スカイTG24のために実施された世論調査によると、ナショナリストで欧州連合(EU)懐疑派のマッテオ・サルビーニ氏が率いる「同盟」とシルビオ・ベルルスコーニ元首相の「フォルツァ・イタリア」とともに形成した右派連合は、分裂した左派を相手に回し、48%前後の票を獲得する見通しだ。

 メローニ氏は、17カ月続いた末に7月に崩壊したマリオ・ドラギ首相の挙国一致政府に参加しなかった。

 政府はもっと野心的になれたはずだと言ってドラギ政権の政治的矛盾を巧みに攻撃しながら、国の政治階級に対するイタリア国民の不満にうまく便乗した。

 2018年の総選挙で得票率が4%にとどまったイタリアの同胞は、主にドラギ政権に参加した他の右派政党から支持を奪う形で、支持率を6倍に伸ばしている。

ファシズムのイメージ払拭を図るが・・・

 夏の激しい選挙戦におけるメローニ氏の目標は、有権者とイタリアのエスタブリッシュメント(支配階級)、市場、西側のパートナー諸国を説き伏せ、自分は過激な政治家ではなく、イタリアの安定と欧州における国の地位を守ると安心させることだった。

 先日は英語、フランス語、スペイン語で話す動画を公開し、イタリアの右派は「何十年も前にファシズムを歴史に譲り渡した」と訴え、同胞はむしろ英国の保守党や米国の共和党、イスラエルの右派政党リクードなどに近いと主張した。