(英フィナンシャル・タイムズ紙 2022年8月4日付)

日本庭園は見ているだけで涼しさを感じる。徒然草に「家の作りやうは、夏をむねとすべし」とあるように日本は古くから暑さ対策を講じてきたが・・・

 200年以上昔の日本では、一流の詩人たちが耐えがたい夏の暑さにぼやいていた。

 なかでも小林一茶は、三粒の雨で涼を取ることができたというどこかもの悲しい感謝の気持ちを俳句で見事に表現することができた。

 だが、記録的な高温が観測され、外出を控えるよう訴える注意喚起が全国に出され、病院に担ぎ込まれる人が急増している昨今では、詩でぼやくだけでは十分ではない。

 日本はかつてないほどの暑さに苦しめられており、死者も出ている。そして、保険会社はイノベーションに邁進している。

 近年は、極端な気温になるのを免れている国などほとんどない。そうした現象が起こる頻度は今後世界的に高まる一方だと予想する研究報告も多い。

 だが日本は、中間層の経済状況がますます悪化し、人手不足が深刻化し、人口の高齢化が世界で最も進んでいる先進国として独特な熱波危機に突入しており、そこから得られる警告は世界各地に鳴り響くだろう。

 日本で最近作られた熱中症保険は、商業的なイノベーションの結晶として人目を引くものの、その保険に加入する人々について不穏な物語を伝えている。

日本を襲う極端気象

 熱中症の保険に加入したくなる理由は、2022年まで積み重ねられてきた統計を見ればすぐ分かる。

 今年の梅雨(雨期)は、比較可能な記録が始まった1951年以降で見る限り最も短かった。気温も上がり、気象庁の観測所の37%で6月の最高気温の記録が更新された。

 同じ6月には、熱中症で救急搬送された人が全国で1万5657人に達した。10年以上前に作られた最高記録の2倍を超える高水準だ。