だがそれでも消費者を欺く投稿が後を絶たない。それはSNS(交流サイト)というアマゾンの監視の目が届かない、他社プラットフォーム上に投稿者と出品者を仲介する悪質業者が数多く存在するからだと言われている。

 そこでアマゾンの監視スタッフは、フェイスブックやインスタグラム、ティックトック、ツイッターなどSNS上の偽レビュー関連活動を調査し、定期的に運営会社に報告している。

 アマゾンの今回の声明によると、同社は20年以降、1万件以上の偽レビュー仲介グループをメタに報告した。これを受け、メタはこれまでにその半数以上を閉鎖し、今も調査を継続している。

 かつてはこの問題について、アマゾンがメタの対応の遅さを非難することもあったが、現在両社は良好な関係にあるようだ。ウォール・ストリート・ジャーナルによると、メタの広報担当者は「偽レビューを勧誘・奨励するグループは当社の運営指針に違反し、削除される」とし、アマゾンや業界全体と連携して排除に向けた取り組みを続ける方針を示した。

規制当局も問題視

 各国の規制当局や議員も偽レビューを問題視している。英競争規制当局の競争・市場庁(CMA)は21年6月、アマゾンと米グーグルに対する正式調査を開始したと明らかにした

 CMAは2社の検知・削除措置や違反者への対応が不十分だとみている。アマゾンのシステムについては、他の商品につけられた記述をそのまま書き込む行為に対処できていない可能性があるという。もし2社が消費者保護法に違反していると判断した場合、法的措置を取る可能性もあるとしている。

 CMAはフェイスブックやインスタグラムではびこる偽レビュー取引も問題視し、メタに懸念を通達した。その後、メタはシステムを改良し、不正取引を自動で発見・削除する仕組みを導入した。

 また、ウォール・ストリート・ジャーナルによると19年には、米連邦取引委員会(FTC)が、偽レビューを投稿するよう依頼した企業に罰金を科している。

 (参考・関連記事)「対策追いつかず、アマゾンで横行の不正レビュー | JDIR