核弾頭の搭載が可能な中国人民解放軍の中距離弾道ミサイル「DF26」(資料写真、写真:新華社/アフロ)

(古森 義久:産経新聞ワシントン駐在客員特派員、麗澤大学特別教授)

「米国政府は中国と北朝鮮の核の脅威を抑止するために、日本と韓国の核兵器保有を奨励すべき時期がきた」

 こんな趣旨の論文が、米国の有力な政治・外交雑誌に掲載された。筆者は朝鮮半島や東アジアの安全保障を研究してきたベテランの米国人学者である。

 歴代の米国政府の核拡散防止の基本政策に変更の兆しはないが、民間の専門家からのここまで直接的な提案は珍しく、米国の同盟諸国に対する「核の傘」への認識の変化の予兆とも受け取れる。米国にとっては韓国よりも日本が信頼度が高く、核武装の許容は日本のほうがより適切だと提案している点も注視される。

変化した東アジアの核をめぐる状況

 ワシントンで伝統のある保守系月刊誌「ナショナル・インタレスト」は7月13日に発売された最新号に、「適切な時期・なぜ日本と韓国が核爆弾を保有すべきか」と題する論文を掲載した。